
[Photo by Howie R]
今年8月、おかげさまで犬曰くは創立9周年を迎えます。9年!我ながら、長くがんばったと感心してしまいます。そして、ここまで続けてこられたのは、日頃から記事を読んでくださり、応援してくださる皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
この9年間で犬曰くでは、犬の行動学や認知科学、遺伝学、ブリーディング倫理、アニマルウェルフェア、飼い主心理学、ノーズワーク、ガンドッグトレーニング(そして最近はフーパーズも!)など、日本ではまだあまり紹介されていないテーマも積極的に取り上げてきました。流行や話題性だけを追いかけるのではなく、「犬をもっと深く知りたい」という知的好奇心に応えられる記事を届けたい… この思いは、創刊当初から変わっていません。
そして今年の5月には、犬曰くにとってもう一つ大きな出来事がありました。北條美紀さん待望の著書『犬と生きるということ、〜あなたと犬の長くて短い散歩道〜』を犬曰くから刊行。さらに刊行を記念したオンラインウェビナーも大好評をいただき、多くの方々と本の内容を共有することができました。ウェブメディアとしてスタートした犬曰くですが、本という形でも犬の世界に向けて発信できたことを、とても嬉しく思っています。
さて、こうして振り返ってみると、たくさんの方に読まれた記事もあれば、内容は濃いのにあまり目立たなかった記事もあります。しかし、どの記事にも編集部やライターそれぞれの思いと、「これはぜひ知ってほしい」という情熱が詰まっています。
そこで9周年を記念して、今回は犬曰く編集部が自信を持っておすすめする「イチオシ記事9選」をご紹介します。初めて犬曰くを訪れた方にも、長年読んでくださっている方にも、「こんな記事があったんだ」と新たな発見を楽しんでいただけたら嬉しいです。ぜひ、この機会に犬曰くならではの記事の世界をのぞいてみてください。
犬の幸せってどこにある?
犬と一緒にカフェへ行くこと。おしゃれな服を着せること。それは本当に犬にとっての幸せになっているでしょうか?スウェーデンに暮らす藤田りか子さんが、日本滞在中に感じた違和感について考察した記事です。
「犬らしく生きること」「犬の幸せとは何か」
人間社会の中で共に暮らしていても、犬のそれは必ずしも人の幸せと同じことばかりではありません。ましてや、人はどうしても人間基準で物事を捉えがちなものです。愛犬にとっての本当の幸せは何であるかを、あらためて考えてみませんか。

身体版レジリエンス、「ロバスト性」を左右するもの〜ご長寿ロットワイラーが示した意外な要因
愛犬には、できるだけ長生きしてほしいですよね。そして、長生きするだけでなく、最後まで健康でいてほしいものです。
さて、その秘訣は犬が「ロバスト性(病気や加齢などのストレスに負けず、健康を維持する力)」を兼ね備えていること。
たとえばロットワイラーの平均寿命は8〜10歳といわれますが、中には13歳を超えて元気に暮らす犬もいます。そこで、ロットワイラーの「ご長寿犬」だけを集め、老年期の健康や病気への強さを詳しく調べた研究があります。研究者たちは、そうした「長寿犬」がどのような生活を送り、どんな特徴を持ち、何が健康寿命を支えていたのかを詳しく分析しました。
「長生き」は運だけでは決まらず。若い頃からの生活習慣など、私たちが日々の暮らしの中で意識できることもあります。愛犬の「健康長寿」となるヒントををここから探ってみてくださいね。

ドッグスポーツを始めたい、でもどうやって…?
ノーズワーク、アジリティ、オビディエンス、ドッグダンス、フーパーズ…などなど、今では、犬と一緒に楽しめるドッグスポーツの選択肢はたくさん!どれも楽しそうだし興味はあるのだけれど、どこからどうやって始めたらいいものかわからない、と、最初の一歩を踏み出せずにいる飼い主さん、多いのではないでしょうか。
今ではすっかりドッグスポーツの競技会で大活躍の藤田さんですが、ご自身も小さなトリックトレーニングからドッグスポーツの世界へ入ったとのこと。そんな藤田さんが、ドッグスポーツ初心者に向けて、始め方や学び方、続けることの面白さを紹介しています。犬と何か新しいことを始めてみたい方に、ぜひ読んでいただきたい記事です。

日本ではどうなの?犬の飼育とソーシャルウェルビーイングの関係
「犬を飼うと幸せになる」というけれど、本当?このような問いは、海外の犬学研究などでよく扱われているものですが、さてはて、日本ではどのような状況に。
そこで京都大学など国際研究チームが、日本の主要都市で大規模調査を実施。ペットの飼育と「地域への愛着」「人とのつながり」「幸福感」の関係に迫ります。犬との暮らしは、本当にメンタルの健全性や人とのつながりに影響を与えるものなのでしょうか?
で、結果は意外にも…?

ドッグスポーツでもトレーニングでも、成功する秘訣は楽観性
ドッグスポーツ大好き、競技会大好きの皆さま!
競技会で思うような結果が出なかったとき、トレーニングがうまく進まなかったとき。皆さんはそんなとき、原因をどのように自分に説明していますか?「自分たちには才能がない」と考えるのか、それとも「今回はこの部分がうまくいかなかった」と捉えるのか、同じ出来事でも、どう説明するかによって、その後の行動は大きく変わります。
失敗しても諦めずに続けられる人、困難な状況でも次の一歩を探せる人には、「楽観性」という共通点があるといいます。飼い主のものの見方は、犬とのトレーニングやチームとしてのパフォーマンスにも影響するかもしれません。

私たちが犬を擬人化してしまう理由
犬は人の視線や指差しをよく理解し、まるで言葉が通じているかのように反応します。人の心を読んでいるような表情を見せたり、こちらの望む行動を驚くほど上手にこなしたりもします。そんな犬たちを前にすれば、「この子はわかっている」「反省している」「飼い主を喜ばせようとしている」と感じてしまうのも、ある意味自然なことなのかもしれませんが、では、犬の行動を人間的に解釈することの、どこに落とし穴があるのでしょうか。
私たちが犬を擬人化してしまう理由を、犬の認知や学習、犬種ごとの特性から考察した記事です。

人の声は犬の心だけでなく体にも届く〜姿勢の安定性への影響
「犬に声をかけるべきか、かけないべきか。それが問題だ」
ドッグスポーツ愛好家の方に、もうひとつ必見の記事がこちら。私たちは、犬を励ましているつもりでいろいろなトーンで声かけをしますね。けれどもそれが時には犬のパフォーマンスを下げている… なんてこともありそうです。ここに紹介するのは、ハンドラーの「声」と犬の集中・判断・身体反応の関係を調べた研究です。研究者たちは、嬉しそうな声や怒った声を聞いたとき、犬の身体にどのような変化が起こるのかを、バイオメカニクスの手法を用いて解析しました。
アジリティやオビディエンス、ノーズワーク、ガンドッグなど、ハンドラーの声かけが重要になるドッグスポーツをしている人にとって役立つ知識となるはずですが、もちろん家庭犬との日々のコミュニケーションを見直すきっかけにもなりますよ!

犬の痛みは見逃されているのか、それとも読み違えられているのか
あなたは愛犬の痛みをちゃんと認識できていますか?
犬が明らかに跛行しているにもかかわらず、「この子は大丈夫ですよ!」と言う飼い主さんに出会ったことがあります。跛行は、多くの場合「痛み」や「違和感」があるからこそ起きている行動ですが、意外にも、その痛み自体には気づいていなかったりするものです。では、人は犬のどのような行動を「痛み」として認識しているのでしょうか。そして逆に、どのようなサインが見逃されたり、誤って解釈されたりしているのでしょうか。
そうした人間側の認識に焦点をあて、犬の痛みサインの理解や誤認について調べた、オランダ・ユトレヒト大学からの研究をここに紹介します。

新しい「犬種繁殖」の概念 〜 同じ見かけじゃなくてもいい、中身さえよければ!
アメリカでは今、従来の犬種スタンダードや閉鎖的な血統登録にとらわれず、「健康で、気質がよく、家庭で暮らしやすい犬」を育てることを目指す、新しい繁殖の仕組みが生まれているそうです。純血種かミックスかではなく、見た目の姿がそろっているかでもなく、重視されるのは、犬がどのように生き、どのように人と暮らせるかという「中身」です。
家庭犬にふさわしい性質を客観的に見極めることはできるのかについて、作業犬やそり犬が、見た目ではなく能力によって形づくられてきたという歴史についても振り返りながら、これからの「犬種繁殖」のあり方を考察しています。

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