飼い主としての正解探し?「自分」を知るために〜 犬曰くより「飼い主心理」の本、出版のお知らせ

文:藤田りか子

みなさまお待ちかね!飼い主心理をテーマに犬曰くにて記事を書いてきた北條美紀さんの連載が一冊の本としてここに登場!題して

「犬と生きるということ、〜あなたと犬の長くて短い散歩道〜」

犬についてのマニュアル本は数多くありますが、そもそも犬の幸せは、良くも悪くも飼い主によって大きく左右されてしまうもの。にもかかわらず、その主体である飼い主自身についての「ガイド読本」はこれまで存在しませんでした。

本書は、飼い主のための本であると同時に、飼い主と関わるすべての人にとっての本でもあると思います。ドッグトレーナー、トリマー、獣医師など、日々クライアントと向き合う立場の方にとって、「飼い主心理学」とは、これまで体系的に学ぶ機会がなかった領域なのではないでしょうか。

心理学をとりまく最新の知見に基づき、「犬と付き合う人の心」という捉えどころのないものを、深く丁寧に、そして時にユーモアも交えながら解き明かしていきます。飼い主心理に特化した本としては、日本初、あるいは世界初と言ってもいいかもしれません。

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自分と犬との唯一無二の関係についての専門家になる

本の「はじめに」には以下のように記されています。

本書は犬の専門書ではありません。飼い主さんが「自分と犬との唯一無二の関係についての専門家」になるための本です。

私も犬を飼った当初は「トレーニングさえうまくいけばいい」「栄養をきちんと与えて健康を維持させればいい」「いっしょにカフェに入れたら楽しい」ということぐらいしか考えていませんでした。しかし犬と暮らす中で当然いろいろな悩みや問題に直面したりします。犬とうまく暮らすためには、物質面を満足させるだけでは足りない。どうやら自分自身の心の在り方に関係する「何か」が必要なのでは…?と。

で、その実体はなんだろうかとドッグインストラクターに聞いてはみるものの

「犬との関係性を築くことです」

などと答えはとても抽象的。ううむ、要領を得ません。そう、その「関係性」の土台となる飼い主の心やメンタルについての具体的な説明がないのですね。

人の心に関わることは、やはりその専門家に聞くのが一番、餅は餅屋!そこで臨床心理士の北條美紀さんなのです。これまでに何百人ものクライアントの話に耳を傾け、その内面と向き合ってきた経験から「犬の飼い主とはなんぞや?その幸せはどこに?」を本書にて解説してくれます。一飼い主として自分をどのように感じ、どう解釈し、そして自分と犬とどう関わるべきなのか…? その導きによって、心の中のあり方が行動として現れ、犬との関係性、そして犬との幸せな生き方が形づくられていくと思うのです。


[Image by ChatGPT]

この本の構成

本書は4部構成。まず最初の第1章では、「そもそも私たちはなぜ犬と生きるのか」という出発点から始まります。犬との関係は何かと理想論で語られがちですが、大事なことは自分の欲求や動機を正面から見つめ直すという客観性を持つこと。その現実を踏まえたうえで、よりよい関係へとつなげていきます。

第2章では、関係性を心理学と生理学の面から説明。愛着、そして自律神経系によって生まれる心身の状態が、犬そのものの行動だけでなく、飼い主と犬との関係性に大きく影響しているというセオリーがここで繰り広げられます。そしてこの章にこそ、私が長年探し求めていた「犬と飼い主のハーモニックな関係のカラクリ」というとても抽象的な概念の、科学的かつ具体的な解説が記されているのですね。

第3章は、関係性の中身について深掘りした章です。犬にしつけは必要なのか、なぜがんばっているのに犬に理解されないままなのか… など自分と犬との関係に疑問を持っている人には、たくさんのヒントがここで得られると思います。そしてこの大事なメッセージが自分の中で繋がっていくはず!

相手を変えようとしないこと。変えられるのは自分だけ。

ドッグスポーツに取り組むハンドラーにとっても、本章は大変興味深いセクションです。ドッグスポーツハンドラー成功心理学とでも呼べる領域があるとすれば、その秘密はここに盛り込まれているといってもよいでしょう。

第4章は、本書の中でも最も視点が外側に開かれています。「犬とあなた」だけではなく、犬を取り巻く人間の心理や関係性にも言及しています。たとえばドッグトレーナーであれば、飼い主をどのように捉えればよいのか、という問題に多々直面するはずです。 犬の問題行動に見えるものは、多くの場合人の認知や関係性に根ざしています。トレーナーが犬以上に人(飼い主、すなわちクライアント)と向き合う職種だと言われるのも、まさにそのためです。

臨床の現場で人とカウンセリングを重ねてきたセラピストだからこその視点から、人がなぜ迷い、すれ違い、時に思考を止めてしまうのか、その背景にある心理の構造を教えてくれます。犬のプロとして飼い主に関わる人にとって、クライアントをどう理解し、どう関わるかという点でとても役に立つ章になること請け合いです。


[Image by ChatGPT]

ところで…本書の副題(〜あなたと犬の長くて短い散歩道〜)を改めて見てみると、なんか泣けてきます。犬との関わりはたしかに長い道のりです。数ヶ月で終わるものではなく、犬の一生を通して続いていくもの。けれど同時に、その時間はあまりにも短いものですよね。愛おしい犬との限られた時間をよりよく過ごすために、自分にとっての道標となるものをこの本から拾い出してみませんか?

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