文:北條美紀

[Photo by Jackie Best]
尾形さんの記事「認知機能障害の犬と暮らすとき、何が変わっていくのだろう」で、認知機能障害を抱える犬と暮らす飼い主へのインタビュー研究が紹介されていた。その中で印象的だったのは、飼い主たちは「介護を始めた」と感じていたわけではなく、犬の変化に合わせて、生活だけでなく関係性をその都度、調整していたという点だ。散歩の距離や速度を変える、犬の導線を考えて家具の配置を変える、食事を食べやすいように工夫する、夜中に様子を見るようになる、そうした調整は特別な出来事ではなく、犬との暮らしの中で自然に積み重ねられる。
関係はいつから変わり始めるのだろう
このような調整は認知機能障害になって初めて起きるものではない。犬との関係は、彼らと出会った当初から変わり続けてきた。犬を迎えたばかりの頃は互いを知ることから始まる。犬は新しい環境に慣れ、ヒトは犬の性格や行動を理解しようとする。その過程で少しずつ愛着を築き、「その犬らしさ」が互いの生活の中に組み込まれていく。思春期を迎えれば、ホルモンバランスの変化によってそれまで以上に「その犬らしさ」が花開き、犬の主体性を尊重した関わり方になる。一方、飼い主自身の結婚や出産、転居、子どもの巣立ちなど、ヒト側のさまざまなライフイベントも犬との関係に影響を与える。犬との暮らしは、そのたびに少しずつ形を変えてきた。
犬との関係は本当に終わるのだろうか
犬との関係は、

