文:尾形聡子
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21世紀に入ってからというもの、犬の認知能力に研究者の注目が集まり、さまざまな研究が行われるようになりました。しかし、認知機能研究の多くは成犬を対象とした横断的なものが多く、犬が成長に伴いどのように認知能力を発達させるのかという縦断的な研究はされていても、対象とする頭数が少なく、作業犬に限った小規模なものがほとんどでした。また、加齢・老化現象という観点から認知機能の低下を調べた研究もありますが、そのようなものに関してもそれほど多くないのが現状です。
一方で、性格については生涯にわたっての変化を調べる研究はそれらより多く、犬曰くでも「加齢によって犬の性格はどのように変化していくもの?」や「ボーダー・コリーの性格は、加齢によってどう変わる?」などで紹介しています。犬種差すなわち遺伝的な違いと性格・気質や認知能力との関係を調べる研究もあり、最近では「人へのアイコンタクトの違いは個体差?それとも犬種差?」や「犬種の作業特性と分離不安は関係がある?」などをはじめ、ダイレクトに遺伝と認知能力の関係を調べた「犬の認知能力、遺伝する?」、飼い主の性格と犬との関係性、そして犬の性質との関連を調べた「人のストレス、影響されやすい犬種とされにくい犬種」など、最新の研究をご覧いただくことができます。
このような状況の中、アメリカの研究チームが犬の最初の2年間でどのように認知機能を発達させるのか、そしてどの程度その特性は安定したものであるかを調査し、