犬種の作業特性と分離不安は関係がある?

文:尾形聡子

[photo by MunstiSue]

多くの犬種は、それぞれの作業特性を持たせるために作出されてきました。羊を集めたり、狩猟のお供をしたり、家畜の番をしたり。それぞれの犬種が持つ作業特性は人の手による選択繁殖を通じて確立されたものであるため、少なからず生まれ持った遺伝的なものだということは科学的な根拠がなくとも経験的に誰もが感じてきたことです。

近年、そのような犬種特有の気質や行動と遺伝的背景とを調べる研究が増えてきており、『Proceedings of the Royal Society B』に発表された研究もまさにそのひとつでした。

もっとも遺伝率が高いのはトレーニング性能

研究では、犬の行動特性を14に分けて評価するC-Barq(統計学的手法を用いた犬の気質や行動特性を解析するシステム)を使用して、犬種が持つ行動や気質などの特性とDNAの違いとを比較分析。131カ所のDNA上の変異が関係していることを明らかにしました。行動特性の遺伝的要因は約40%~約70%で、平均すれば犬の特性はおよそ50%遺伝することが示されました。中でも遺伝しやすい特性だったのが訓練性(73%)、見知らぬ人への攻撃性(68%)、獲物の追跡(62%)。つまりこれらの特性においては育ちよりも氏が影響する割合の方が高いということです。

 


[image from bioRχiv] 2017年に発表された研究より。遺伝的関連性を示す系統樹と品種ごとの行動スコアを示すヒートマップ(濃い方が特性が強い)。犬種によって生まれ持った特性に違いがあることがよくわかる。(画像が見えにくいので、詳細を見たい方はこちらリンク先のfig1を参照ください)

上記研究にも含まれていた犬の行動特性のひとつ、分離不安は、特徴というよりも問題行動として捉えられているものですが、分離不安にももれなく遺伝的要因が影響しています。上の表では「separation problems」のところが分離不安に当たり、犬種によって色の濃淡に違いがあることが分かります。この分離不安の行動に焦点を当て、犬種の作業特性とどのように関連しているかを調べた研究が

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