文:北條美紀

[Photo by Mariana Suárez Recio]
前回の記事「高齢犬との暮らし(1)~関係は、いつ「終わる」のだろう」では、犬との関係は老いによって少しずつ変化し、その変化に私たちは適応しながら暮らしていることについて書いた。家具の配置を変え、散歩の距離を調整し、生活のリズムを見直す。そのような小さな調整を積み重ねながら、私たちは犬との新しい関係を築いていく。しかし、その調整の先には避けることのできない出来事、死別がある。死は関係の終わりなのだろうか。この問いは、現代の悲嘆研究における最も重要なテーマの一つとなっている。
かつて悲嘆は「失われた対象から心理的に離れる過程」と理解されていた。精神分析の創始者ジグムント・フロイト(Sigmund Freud)以来、精神分析の世界では、悲嘆は亡くなった相手への愛着を少しずつ手放し、そのエネルギーを新たな対象へ向けることが健全な悲嘆の終結であると考えられていた。しかし1990年代以降、この考え方は大きく見直されることになった。
継続する絆Continuing Bonds
その転換点となったのが、アメリカの宗教心理学者


