文と写真:藤田りか子
うちの犬たち。よく食べて、良いもの食べて、よく遊ぶ!
我が家における愛犬BARFダイエット日記シリーズ第2弾。前回からの続きである。
注意:筆者はBARFや生食のエキスパートでもなければ、犬の栄養学に通じた者でもない。まったくのアマチュアだ。なので、ここに書いてあることを鵜呑みにしないよう!単なる経験談として読まれたい。「こんな風に自分もやってみたいけど、どうなんだろう?」と思った人はぜひその道の専門家からアドバイスをもらうように!
内臓食が効いたのかも!?
ふと気がついたのだが、ラッコの目から白濁のドロっとした液体が出てこなくなっていた。彼の内側の目の角に鼻水みたいな液体がたれているのは常日頃のことであり、ま、こんなものなのだろう、と10年間放置しておいた。それが、ほぼなくなり目の周りがとても綺麗になっているのである。どうしてだろう、とふと思い立ったのが、
「ひょっとしてこれは最近始めたBARFのおかげ….?」
と、私に生食をススメてくれたスウェーデンのBARFエキスパート、ピッレ・アンデションさんに聞いてみたらまさに、そうなのであった。
「生食からビタミンAを適切にとっているからですよ。ビタミンAが少なすぎても多すぎても、犬の目は涙目になります。市販のドッグフードに入っているビタミンは合成ビタミンであり、人工合成ビタミンからだと、犬はせいぜい多くとも40%しか摂取することができないのです」
とのこと。なんと!
そしてそのビタミンAの大事な供給源となっているのが、レバーなのだそうだ。必要な量を得られるのであれば、一週間に2〜3回とまとめて与えてもいいということだが、うっかり与えそびれるかもしれないので、我が家では前回の記事にも記したとおり毎日ちょびっとづつ与えている。涙やけしている犬にいろいろサプリメントを与えて試している人もいると思うのだが、ひょっとしてBARFダイエットにすることで一気に解決するかもしれない。
向上したのは目だけではない。アシカの口の臭さも、ラッコの毛の臭さも減った。「プラセボ!」と思う人がいるかもしれないが、うちがBARFをやっていることを知らない人に
「ラッコの体が以前ほど臭わないね」
と言われた。だから確かに効果があったのだと思う。BARFをやり始める多くの人が、口臭が弱くなる、涙やけがなくなる、という効果をまず最初に気が付くのだそうだ。
ラッコの目の周りが今までこれほど綺麗になったことはなかった。ビタミンAを生肉から適切量を摂っているおかげらしい。
ただしレバーは生で与えなければ効果がない。加熱するとビタミンなど多くの大事な栄養素が失われてしまうということだ。生レバー万歳!ちなみにレバーと一言で言っても、動物の種類によってレバーの栄養プロファイルは変わる。ビタミンAが豊富なのはラム(子羊)のレバーで、チキンのレバーはそれよりだいぶ低い。ただしBARFダイエットを行うにあたっては一つの素材に固執したりしないほうがいい、というのが私の印象だ。ある素材はビタミンCが豊富で一方でもう一つの素材はビタミンBが豊富で、などとそれぞれ強みを持っている。だからたとえビタミンAがラムのレバーにもっとも多く含まれているといっても、その時々で手に入るさまざまなレバーを与えている。時にラムであったり、時に牛、あるいはチキン、もしくは豚であったり。
内臓まつり!
気が付かれたと思うが、BARFをやる際において内臓はとても貴重な食品アイテムとなる。肉(筋肉部位)はその辺のスーパーでいくらでも手に入る。のみならずいろいろな動物の、いろいろな部位の肉が売られている。が、内臓とくると…。スウェーデンだとせいぜいチキンのレバーぐらいだろうか。
カッレの友人に小規模ながら肉牛を飼っている人がおり、その人が何頭か「と殺」するということを聞いた。こういうとき、BARF飼い主はもういてもたってもいられなくなる。なにしろいろいろな内臓が手に入るチャンス。それもただで!多くの臓物はどのみち廃棄される運命にあるのだから頼めばくれる。
待ちに待っていたもろもろの内臓はゴミ捨て用の大きな黒い袋にどんと入ってやってきた。開けてみると、心臓に肺、腎臓、脾臓、肝臓(レバー)、そしてなんとタン(舌)まで。一つ一つの内臓を分けてそれぞれのビニール袋に保存する作業のために、我が家の台所はまさに血の海のようになった。内臓まつりである。犬たちは何か落ちてくるものはないか、と周りに集まってきた。
私はタンまでタダで手にいれたことに大喜びだ。この時ばかりは犬と食べ物を巡っての競合となった。これは渡せられない。いつかタンシチューを作るために、自分でキープしておくことにした。大陸のヨーロッパ諸国と異なりスウェーデンにおいてはタンを食べる習慣はあまり根付いていない(燻製にして食べる人もいるのだが)。タンというと、みな気持ち悪がる。だから廃棄物として黒い袋の中に含まれていたというわけだ。日本ではタンは高い食材であり、そうそう手を出せないと、犬曰くの同僚の尾形さんが話してくれたが、文化が変わればその価値も一気に変わるというところだろう。
今回脾臓を初めて手に入れた。これは分泌系の内臓の一つとしてBARF食材としてみなされている。脾臓を日本のスーパーで見かけた方、おられるだろうか?もちろんスウェーデンではあり得ない。日本ではホルモン食材の「チレ」として知られている。長くてまるでベルトみたいな器官だ。切るとドス黒い赤い身。それもそのはず、ここで古くなった赤血球を処分したりあるいは血液が貯蔵される。鉄分が豊富な故に、パピー用のBARFには欠かせない大事な内臓部位でもある。これも、全体のフード量の5%分を与える。ラッコであれば一回分が16g 、ラブラドールズには12g。本当に少量を与えるだけでいいのだ。
ちょいと血生臭いシーンだが、これが脾臓。折りたたんでいるものの、ひょろながいまるでベルトのような内臓である。
さて、BARFの話はまだまだ続く。
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