犬の実行機能は6つの要因で成り立っている

文:尾形聡子


[photo by Otsphoto]

実行機能とは、何かをする際に効果的に行うために必要とされる認知機能あるいは制御する能力のことを言います。最近では脳トレや自己啓発、コーチングなどの分野との関連で見聞きすることのある言葉かもしれません。あるいは読者の皆さんの中には、藤田りか子さんの記事「愛犬の「実行機能」をチェックしてみよう!」を思い出した方もいることでしょう。そこには、行動と思考とを適切に制御する能力である実行機能は、以下の三つの要素により成り立つと書かれています。

  • 抑制(行動の衝動を抑える能力)
  • 切り替え(注意の対象を変え変化を許容する能力)
  • ワーキングメモリー(当該の状況で必要な情報を一時的に頭に留めておく能力)

この要素、もれなく犬の中にも見ることができるものです。そう、実行機能は人だけが持つものにあらず。人間社会の中で共生している犬にも備わっている能力と考えられています。

実行機能の詳細については藤田さんの記事「愛犬の「実行機能」をチェックしてみよう!」を参照していただくとしまして、その中で、犬の実行機能を測定する「A-NOT-Bエラー」テストのやり方について藤田さんのアレンジバージョンが紹介されていました。家庭で楽しむには申し分ありませんが、研究においてこのような認知機能を測る実験を、厳密なプロトコルのもとテスト環境を完全に統一し、信頼性のおけるデータをとるのはなかなか難しいものです。

そこで、犬の実行機能について長年研究を続けているオーストラリアのラ・トローブ大学Pauleen Bennett博士の研究チームは、犬の実行機能をより正確に評価するには補完的な評価方法が必要だとし、

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