イタリア原産の犬のゲノム比較、牧羊犬vs狩猟犬

文:尾形聡子

[Photo by ] 一度見たら忘れられない風貌のベルガマスコ。

イタリア原産の犬というと、皆さんはどんな犬種を思い浮かべますか?

日本ではイタリアン・グレーハウンドやマルチーズがおなじみかと思いますが、小型犬のボロニーズ、超大型犬のナポリタン・マスティフ、ほかにも犬曰くの記事の中で登場した犬種では、先日藤田りか子さんが紹介していたトリュフ犬ことラゴット・ロマニョーロマレンマ・シープドッグ、まだFCI(国際畜犬連盟)では公認されていないFonni’s Dogなどがイタリア出身です。

FCIに公認されているイタリア原産の犬種は14ありますが、国際的に犬種として認められていないものの、イタリアにはFonni’s Dogのように地元の農家や猟師によって現在も重宝されている土着の犬が多数存在しています。そのような犬は、FCIで公認されている犬種と比べるとよりいっそう作業特性を重視した選択繁殖が何世紀にもわたって行われてきていると考えられます。羊などの家畜を守る作業をする犬は、猟師が撃った獲物を回収するためには使われませんし、その逆も然りです。

イタリアは古代ローマ時代、何人かの著述家が著書の中で、役割を持った犬の特徴について記述しています。たとえば農業についての本(De re rustica)の著者コルメラは、農場を守る犬(villaticus:黒い被毛で体格は四角く、大きな頭)、家畜を守る犬(pastoralis:白い被毛で強靭だが素早い犬)、そして狩猟犬(venaticus)がいると

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