文:藤田りか子
[Photo by Maja Dumat]
我が家における愛犬BARFダイエット日記シリーズ第5弾。前回からの続きである。
注意:筆者はBARFや生食のエキスパートでもなければ、犬の栄養学に通じた者でもない。まったくのアマチュアだ。なので、ここに書いてあることを鵜呑みにしないよう!単なる経験談として読まれたい。「こんな風に自分もやってみたいけど、どうなんだろう?」と思った人はぜひその道の専門家からアドバイスをもらうように!
ウルトラ加工食品
子供の頃は母親に
「インスタント食品なんかたくさん食べちゃだめよ、がんになりますよ」
と言われ育ってきた。即席ラーメンを食べようものなら
「お汁は飲まないこと!」
と、それを飲もうとする私を止めたものだ。そんな母親が台所を牛耳っていたので、我が家ではインスタントスープとかできあいの冷凍食品が食卓に上るということはほとんどなかった(もっとも母は専業主婦だったから食事を作る時間がたっぷりあった)。インスタント食品って、最近の言葉でいうとウルトラプロセスフード(Ultra Processed Food)、すなわちウルトラ加工食品のことじゃん、と今更ながら母親の食品に対する健全観を見直した。
そう、今やそのウルトラ加工食品がいかに人の健康に害を及ぼしているのかヨーロッパやアメリカで研究が相次いで発表されており、5年前ぐらいからマスメディアでも取り上げられるようになった。ウルトラ加工食品とは、大雑把に言うと、保存料、乳化剤、香料など家庭で使用されることのない添加物や成分が多く含まれている食品。スナック菓子、インスタント食品、冷凍食品、ソーセージ、ポテトチップやシリアル、コンビニで売られているおにぎりやお惣菜などがそれにあたる。
食品は加工度によって4つのグループに分けられる。その中で一番加工度が高いのが第4グループの「ウルトラ加工食品」。食べ過ぎれば、2型糖尿病・肥満・がん・心臓病・肺疾患などのリスクが上昇するだけでなく、血管性認知症になりやすくなったり、うつ病などの精神面での不調にも影響を与えるとしている。
一見超健康そうなシリアル食品。これもウルトラ加工商品として分類される。[Image by Engin Akyurt]
ひょっとしてドッグフードってウルトラ加工食品?
さて犬の話をしよう。BARFを始めるようになって、初めて犬の食事の大事さに気が付くようになった。そしてそれまではなんといい加減な食を犬に与えていたのだろう、と過去を振り返ってみるとちょいと恐ろしい気持ちにもなる。その根本には
「犬なんだから、なんでも食べられるだろう」
という思い込みがあった。なにしろ人だったら絶対に食べたくないと思うもの、たとえばシカの糞など、を我が家の犬は食べたがる。おまけに野良犬は腐ったものでも平気で食べている。なのでドライフードで十分だと思っていたのだ。
「なんで?多くの犬がドライフードで長生きをしているし…」
しかし私のBARF師匠ともいえるピッレ・アンデションさんからドライドッグフード業界のスキャンダルを聞くにつれ、怖くなってきた。どんな話?ここではちょいと言えないので、ピッレさんのオンライン・セミナーでみなさん直接質問をして聞いて欲しい(日本初ピッレさんによるBARFウェビナーについては記事最後を参照)。
そしてBARFとこれまで食べさせていたドライフードを比較しながら気がついたのは、ドライフードって、犬食世界のウルトラ加工食品じゃないか、ということ。今頃気がついたのかと思われるかもしれないが、ドライドッグフード会社の
「科学的根拠に基づいて栄養が配合されており完全食でバランスが取れています…」
という文句をすっかり信じ込んでいた、と思う。科学的に栄養配合されていてバランスが取れていたら、人も毎日人用ドライフードを食べて健康になれるのだろうか?そんなもの子供に毎日与える親はいるだろうか?
[Photo by Mathew Coulton]
ドライフードの製造は、粉末肉、油、穀物、野菜、ビタミン/ミネラルミックスなどから生地を作るところから始まる。それを高熱で調理した後ペレット状の形に切り取って乾燥、最後に脂肪と風味付けが施され包装となる。これだけのプロセスを経て作られたものであり、さらには「家庭で使用されることがない添加物」も含まれているはずだ。まさに立派なウルトラ加工食品なのである。とあるイギリスの獣医師が
「この地球上でウルトラ加工食品を食べている唯一の生き物は人、犬、猫だけである」
と語っていた。現代の多くの犬や猫が心臓疾患や肥満、糖尿病やがんを煩うなど、人と同じ病気に罹るようになったと言われるが、無理もない。
BARFは犬に贅沢をさせること、と思われがちだ。確かにドライフードよりコストはかかる。手間もかかる。しかしそれは贅沢などではなく、犬が生き物として本来食べていたものを人の世界でできる限り実現化させようとする努力ではないかと思うのだ。その昔、村落の周辺をほっつき歩いて残飯をあさっていた犬は、少なくとも超加工されていない純粋な食材を口にしていたはずだ(多少腐っていたりしていたかもしれないが、彼らの胃のpHは低く保たれていただろう)。そして自分でも狩猟をして栄養を補ったり、あるいは人の狩猟についていって手伝いをしたお礼にお裾分けをしてもらっていた。衛生面はとにかく、材料としてはしっかりとしたものを食べていたと想像される。
日本の「愛犬手作り食世界」は調理系が多し…?
市販のドッグフードではなく、愛犬にいいものを食べてもらいたいという意図で手作り食を与えるのが日本では流行っている。もちろん加熱して調理したものだ。けれどBARFで摂取できるミネラル量と比べると、かなり少ないのではないかという印象がある(アマチュアの見地だ、悪しからず)。肉(タンパク質)と野菜を主に犬に食べてもらっているようだが、野菜から取れるミネラルの量は知れている。おまけに肉といえば鶏が主になっている。BARFだと最低3種類の動物からタンパク質を摂れと言われているものだ。ただし手作り食も犬の栄養士資格を持った人が考えたレシピであれば、きっといいものに違いない。そしてそれを食べている犬が元気で幸せならなおさらだ。
スウェーデンのBARFのプロに聞けるチャンス!
加熱調理した手作り食がメジャーな日本ではあるけれど、この際、ヨーロッパから本当のBARFプロによる本当のBARF講義を聞いて学ぶのはいかがだろう。
ならばまたとない機会をこちらにご提供である。題して
「BARF(生物学的に適切な生食)〜ナチュラルドッグフード〜」セミナー!
講師はもちろん私のBARF師匠、レオンベルガーを愛してやまないレオンベルガーブリーダー、そしてノーズワークインストラクター&ジャッジとして来日したこともあるピッレ・アンデション先生。日時は2024年6月27日(木)19:00〜21:00。主催はセントライン・ドッグトレーニング。
日本全国いや海外からも、誰もが参加できるオンライン・セミナーですよ。奮ってご参加を!
⚫️ 講座名:BARF(生物学的に適切な生食)〜ナチュラルドッグフード〜
⚫️ 講師:ピッレ・アンデション(認定生食栄養士)
⚫️ 講義内容:
・愛犬の腸内環境とリーキーガット症候群という病気
・ウルトラ加工食品のリスク
・ドライフードって本当に安全?
・BARFって何?
・BARFダイエットのルール
⚫️ 日時:2024年6月27日(木)19:00〜21:00
※zoomによるオンラインセミナー(見逃し配信あり)
⚫️ 参加費:8,500円(税込)(お支払い方法:申込フォーム送信後の画面に表示されます)
⚫️ お申し込みフォーム
https://forms.gle/hxP83Z2QdjaZWiHc8