ゲノムとDNAメチル化、どちらがより犬の行動特性を予測できるか?

文:尾形聡子


[Image by Rebecca Scholz from Pixabay]

人がひとりひとり違うように、犬もそれぞれに個性があります。個体の行動の特徴や傾向は遺伝の影響と環境の影響の両方を受けて作られています。遺伝的な影響を見やすいものは犬種です。犬種が存在するのは閉じられた遺伝子プールのなかで人為選択により繁殖が維持されているためです。そして見た目だけでなく行動特性についても遺伝的な背景が強く影響しているものがあることが明らかにされ始めています(「犬種に特徴的な行動の遺伝子、ついに明らかにされ始める」参照)。

ですが、当然のことながら遺伝子や犬種だけですべての犬の個性が語れる訳ではなく、同じ犬種であっても個々の行動は異なります。その違いを主に作っているのが環境です。さらに、環境は遺伝子とお互いに影響し合うことでも個体の行動に影響を及ぼしていると考えられています。それを、「遺伝子環境相互作用(Gene–environment interaction)」と呼びます。レトリーブやトレーニング能力など遺伝的な側面が強く影響する行動もあれば、社会化期の

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