飼い主との愛着関係が影響する、犬の眠りの質

文:尾形聡子


[photo from pixabay]

昨今、飼い主と犬との愛着の状態が犬の行動や性格などさまざまな側面に影響を及ぼすことが明らかにされてきています。そのような研究が行われるようになったのは、犬と飼い主との間に築かれる関係が、人間の母子間に見られる愛着と似通っていることが示されたためです。犬にとっての飼い主は、子どもにとっての親(養育者)との関係が重要なのと同様であると考えられています。

これら両者の結びつきをあらわす言葉が「愛着」です。愛着とは、社会的な絆の一形態で、子どもと特定の養育者の間に形成される強い情緒的な結びつきのことをいいます。子どもにとっては養育者が、犬にとっては飼い主が、確固たる信頼感に基づいた「安全基地(Secure base)」となり、子どもや犬に分離や危険などが迫ればそれによるストレスを緩和するために安全基地を求めます。(愛着や安全基地について詳しくは北條美紀さんの「犬の愛着の傷つきだって修正できるかもしれない!メンタライジングと修正愛着体験」、「「あなたの犬は分離不安症です」その2~健康な分離不安は愛着形成のサイン」を参照ください)

これまでに、犬と飼い主との愛着関係の違いは、犬の分離不安思春期の行動に影響を及ぼすことを紹介しましたが、今回は犬の睡眠への影響を調べた研究を紹介したいと思います。研究を行なったのは、犬の認知行動学研究を牽引し続けているハンガリーのエトベシュ大学のチームで、研究者らは以前、人と犬が似たような睡眠パターンを持つことを証明しています。

ストレス経験は犬を眠りに落ちやすくさせ、眠りの質も下げる」で紹介したその研究では、犬も人と同じように、ストレス経験をした後は、楽しい経験をした後に比べて、深い眠りのノンレム睡眠(休息眼球運動を伴わずに脳が眠る状態)が

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