犬の爪切りもテクノロジー、電動爪ヤスリを使うトレーニング

文と写真 藤田りか子

電動に変えた!

ラッコの爪切りの奮闘記をこれまで2回(第1話 第2話)にわたって紹介した。エピソードはちょうど2年前のことなのだが、その近況報告としてこちらに続編を綴りたい。

今、まだ私が鉄ヤスリを使ってセッセとラッコの爪のケアをしているか?ということだ。白状しよう。鉄ヤスリは現在ギブアップした!というか、昨年から効率のいいやり方に移行していた。そう、電動爪ヤスリ(電動爪トリマーとも呼ばれている)に変えたのだ。それまで律儀にマニュアルで爪を研磨してきた。中年のお年頃も過ぎた私には少々腰や背中が疲れることもあり、だんだん面倒と感じ始めるように…。おまけに昨年から我が家にはアシカという犬が1頭増えた。

そんなこんなで「これ、電動でやったら?」と思い立ったのだ。鉄やすりを握り始めた頃は、電動だなんてそんな難しい器具は使えない、と諦めていた。のみならず、やっとここまで鉄ヤスリに慣れたラッコに、モーターの音を聞かせてまた怖がらせたら元の木阿弥だ。だが今回は鉄ヤスリによる「セッセ」の1年間の蓄積があるおかげで、少し自信も持ち始めていたのだ。

トレーニングの仕方

電動爪ヤスリを使うにあたって、いきなり爪にあてて使い始めないように。特にビビるタイプの犬であれば、ショックを起こしてしまうだろう。以下の順序で私とラッコは爪切り成功にいたった。

  1. まず、モーターの音を怖がらないようにと、買う前に我が家にあった電動歯ブラシでモーター音に慣らした。ブーンとモーター音がなっている歯ブラシを手にし、それを爪にあてるまでもなくそばにかざす。それで犬がおとなしくしていたら、トリーツでご褒美(犬が一番大好きだと思うものを与える)。このトレーニングにおけるご褒美に基準は「抵抗せずおとなしくする」ということ。なので、抵抗する前に、終わらせるのがコツである。

  2. その後モーターの振動を経験させるために歯ブラシを爪に添えてみる。一瞬でよい。そこでまたトリーツ。おとなしくしていることができたら、徐々に爪に置く時間を伸ばし、振動にならす。毎回トリーツのご褒美を忘れずに。電動歯ブラシのブラシの部分はもちろん使い古したものを使うといいだろう。

  3. 電動歯ブラシを持っていない方は1と2の過程をスキップしても構わない。モーターの音に慣れさせるだけなら、何か別の電気器具で代替できる。たとえばカプチーノ用のミルク泡だて器を使ってみるのは?

  4. 実際に電動爪ヤスリを使う段となるのだが、まずは器具の存在そのものに慣れさせよう。電動爪ヤスリを手にして犬ににおわせる。それで納得してくれればスイッチオン(まだ犬の爪にあてなくてもいい)。ちなみに犬はなんだってまずは鼻で確認をしたがる。人の場合は「見る」ことが確認につながるのだが。

  5. 次は犬の足を手に取り、電源をオフにしたまま器具で爪に触れてみる。この後は、電動歯ブラシとまったく同じプロセス。慣れたら、爪に少しあてて(オンにする)、一瞬で終わりにし、その後徐々に時間を伸ばす。犬が嫌がって足を振りほどく前に、タイミング良く終わらせトリーツを与えること。振りほどくことで自由を得ると学習させないように!さもないと今後足を握らせてくれなくなってしまう。

  6. 電動爪ヤスリの場合、急激な摩擦熱に気をつけて。組織に触れないよう、少しづつ削りながら短くしていこう。また1回で一気に削ろうなどと考えないよう。何回かに分けて。すでに長く伸びてしまった爪を削るのであれば、爪の中の神経も伸びているので、最初から完璧に短くトリミングする必要はなし。

  7. 最初の頃は1回につき足1つ(爪4〜5つ)で終わらせていたが、次第に慣れてくると、一気に削ることもできる。ただし、足一つにつきトリーツを与えることは今でも続けている。

爪をヤスリに当てる際に、振動を緩めるために指で削る爪を少しささえてあげよう。実際に自分の爪を削ってみてどうやれば振動が少なくなるか試してみるのもいいかも!摩擦で熱がでるので、少しづつ削ること。素人動画なのでぼやけているのはご勘弁を!

アシカは喜んで足を差し出す!

以上の方法でラッコは1週間後には完全に慣れた。そしてアシカに関しては、私が器具を持ち出した途端、喜んで自分から前足を差し出すほどに。協調性が高いというか、ラブラドールって本当に朗らかな犬種だと思う。もちろんトリミングをするたびにもらえるトリーツがお目当てだ。削る時の犬のポジションだが、爪切りを嫌がる犬であれば、最初は装蹄師スタイルがおすすめだ。足を後ろ側に向けてやる方が犬も神経をそこに集中させないで済む。

ラッコのように爪切りを憎悪する犬と暮らしている者としては、電動爪ヤスリの導入は我が家の大革命といってもいいだろう。こんなに重宝した犬グッズもない、もっと早く気がつけばよかった。一見爪切りよりも面倒臭そうに見える。しかし慣れると18本の爪を仕上げるのに2〜3分ぐらいしかかからない。頻度は1週間に1度程度。アシカに関しては普通の爪切りをつかっても全く問題がないのだが、切りすぎという心配がないのでやはり電動式がいい。というか、今後どの犬を飼っても、私は即電動の爪ヤスリを使うつもりだ。

電動爪ヤスリのメーカー?

電動爪ヤスリのメーカーのおすすめだが、私はトリマー世界で有名なオスターというブランドから出ているものを購入した。私が住むスウェーデンではこのブランドが電動爪ヤスリの中ではメジャーだ。ただし日本のアマゾンのサイトで見るとまったく人気がない。それどころか使い物にならないともレビューが出ているが、前述したように私は製品にとても満足している。ここに紹介したのは電池式のコードレス。充電式電池でも10回ぐらいは立て続けに使える。尚スウェーデンにはUSBで充電させるコードレスのオスター電動爪ヤスリも売られている。

オスターは、ヤスリの部分に替えが必要だ。ただしこれはオスター・オリジナルではなくとも大丈夫。ドイツのボッシュから出ているドレメル電動ヤスリ(ペット用ではなく手芸用)のリングタイプ紙ヤスリ(サンディングバンド)を購入して間に合わせている。ヤスリは二ヶ月は十分に使える。

日本では電動爪ヤスリとしては、こちらの電動爪トリマーと呼ばれるものに一番の人気があったので参考にされたい。

電動爪ヤスリにするにはまだ敷居が高い!と思われる方は私とラッコのパターンを踏襲されるといいだろう。とりあえず手動で鉄ヤスリから。鉄ヤスリはたかだか1000円程度。自宅で爪を切れると思えば、それほど高い投資ではない。そして月日を重ね愛犬が鉄ヤスリに慣れたら、電動に移行だ。

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