食い気、カーリー vs ラブ

文と写真と映像:藤田りか子

食器洗いは任せて!

レトリーバーを飼って嬉しいことの一つは、彼らのたくましいまでの食欲である。以前、レオンベルガーと暮らしていたのだが、クリッカートレーニングを教えるまではあまり食い意地はなく、何か技を学んでもらうにも、ご褒美のチョイスに苦労をした。

ところが、その次に我が家の一員となったカーリー・コーテッド・レトリーバー。この犬種を飼い始めてから、食欲をそそらせることにもうそれほど苦労は無くなった。おかげでトレーニングがとてもしやすくなった。しかし、カーリーごときで嬉しがるな、上にはもっと上がいる、を見せつけてくれたのがラブラドール・レトリーバーのアシカの食欲である。

我が家3代目のカーリー、ラッコはそっと手からトリーツを取ってくれるものだが、アシカのそれはまるでワニの餌付けショーである。手からガガっとひったくる。指も噛まれ痛いこともしばしば(どうやって優しくトリーツを手から取ってもらうかというトレーニングはいずれの機会に紹介することにしよう)。体重は15kgぐらいしかない。だがその2倍以上のラッコよりも数段の早食いだ。両者の何が違うのかビデオを撮って比べてみた。

ビデオでは少し見にくいのだが、ラッコは舌を出しながら食べている。アシカは余計に口を開けることなく、まるで吸い込むように食べる。時間のロスが惜しいと言わんばかりだ。アシカのこの逞しさと比べると、ラッコが品良くすら見える。

だがこの強烈さがあるから、フィールド系のラブラドールはトレーニングがしやすい。食欲あるいは遊び欲の強さは作業犬の素質としても考えられている。何と言ってもモチベーションを与えやすい!生まれつき強い社会性のおかげで人とコンタクトがいいラブではあるが、食を提供してくれる、というのも彼らにとっては人と一緒にいたいという動機の一つに含まれているのかもしれない。

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