犬飼い主さんの「うちではいい子なんです」症候群

文と写真:藤田りか子


おうちではこんなにいい子なのに![Photo by Romain Brami]

知り合いの犬飼い主さんといっしょに月に何回かグループ練習をしている。他の犬に気を取られずにハンドラー(飼い主)に集中をする、とか、他の犬を無視して通り過ぎる、などといったごくごく基礎のトレーニングを行っている。とはいえ悪い癖がすでについてしまった犬にとっては、このような基礎練習こそ、最も必要とされているものであり、同時に一番難しい。

今回は、この基礎トレにやってくるとある二人の飼い主さんについてちょいと物言いをしようと思う。飼い主であるAさんとBさんの共通点は、自分の犬がフライングしたり呼び戻しで無視するなど、うまく振る舞ってくれないときに必ずこうコメントすることだ。

「うちではいい子なんだけど…」

「うちの庭でやるとうまくいくんですよ」

「ここに来たらとたんにだめなんです」

もしかしてみなさんにも心当たりが?インストラクターに指摘されれば、誰しもがどこかでこんな言い訳をしたことがあると思う。私も同様だ。だが中には

「でもうちではできるんです!」

を延々に繰り返し、インストラクターが何を提案しても一向に自分のやり方を変えようとしない人もいる。ならば、習いにこなくていじゃないか、とインストラクターとしては匙を投げたくなる。


人に指摘されるとついつい「うちの子、普段こんなことしないんですよー」と言いたくなるのだが…!

なぜこんなふうな言い訳で我々飼い主は主張を押し通そうとするのか?そのあたりの飼い主心理の説明は犬曰くでお馴染み、臨床心理士の北條美紀先生の記事を待つとしよう。ここではとりあえず、これらの言い訳が全く無意味である理由をドッグトレーニングの観点から述べて

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