文:尾形聡子

[Illustration by ChatGPT(AI生成)]
犬は人類を変えたのでしょうか。
この問いは、これまでさまざまな角度から語られてきました。犬の家畜化はいつ始まったのか。人と犬はどのように共進化してきたのか。あるいは、人と犬との関係が互いの遺伝子にどのような影響を及ぼしてきたのか。犬の歴史をたどる研究は、考古学や遺伝学、行動学など多くの分野で続けられています。
そんな中、最近とても興味深いレビュー論文を見つけました。論文のテーマは、人と犬との長い共生関係が、人間にどのような影響を与えてきたのかというものです。しかも研究者らは、その影響を遺伝子の変化だけで説明しようとはしていませんでした。
ただし、このレビュー論文は一般的な総説とは少し異なり、過去の研究を整理して結論を導くというよりも、「今後、このような研究ができるのではないか」という新しい視点を提案する内容でした。
そこで研究者らが注目したのは、「発達環境(developmental environment)」という考え方です。
発達環境というと、一般には家族や友人、地域社会、食生活、自然環境などを思い浮かべるでしょう。私たちはさまざまな環境のもとで、その影響を受けながら心や体を形づくっていきます。
では、その環境の中に犬も含まれていたとしたらどうでしょうか。
研究者らは、犬を単なる伴侶動物としてではなく、

