犬との暮らしは人の感覚を自然に向けるのか

文:尾形聡子


[photo by Haru]

以前、犬たちと長年同じ地域を散歩していたころ、私はいつの間にか道沿いの木々や草花の変化を覚えるようになっていました。この桜の木は毎年少し早く咲く。台風で枝が折れた桃の木は、たくましく復活して新しい枝を出してきた。背丈を少し超えるくらいだったコブシは、いつの間にか見上げるほど高くなっていた。そんなふうに、季節の移ろいを、犬との散歩を通じて身体で感じていたのだと思います。

草木だけではありません。犬と暮らしていると、雨が降る前の空気の変化や、日の出や日没の時間など、さまざまな自然の変化をいつの間にか身体で感じるようになっていた、という方も少なくないのではないでしょうか。

もちろん、犬と暮らしている人がみな自然に興味があるというわけではありませんし、自然との関わり方にも大きな個人差があります。ただ、犬との暮らしには、人を毎日屋外へと向かわせ、近所を散歩する中で、空気や季節の変化に注意をし続けるようなところがあります。

一方で、犬との散歩をしなくなった後、しばらくの間、私は季節に取り残されてしまったような感覚を覚えたこともありました。なにも大自然の中にいたわけではありません。散歩していたのは、東京の、ごくありふれた住宅街です。それでも、犬と一緒に歩いていたころと、ひとりで歩くときとでは、自然の感じ方がどこか違っていました。

なぜ、そのような感覚が生まれるのか、そんなことを考えたことはありますか?

「自然とのつながり」は研究され始めている

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