文:北條美紀
[Photo by nejcbole]
shouldingとmutsingの記事(「犬を思うなら」「犬の飼い主なんだから」と言わないで! あなたの苦痛の正体は?)を読んだ藤田りか子さんから「複雑な気持ちがする」との感想をいただいた。ヒトの親子であればヒトという同じ種だから、親は本能的に子どもの要求をキャッチして反応できる。しかし、犬と飼い主さんとでは種が異なるため、そう簡単にヒトは犬の要求を理解できないんですよ、とのことだった。つまり、飼い主は犬の要求を理解しようともっと知識をつけるなり努力すべきで、北條さんの見解は少々飼い主さんに甘いんじゃないの?ということだろうと私なりに理解した(注:これは私の勝手な想像であることをお断りしておきます)。
犬に対するヒトの理解力の乏しさを示す一例として、初めて子犬を迎える飼い主さんがペットショップで犬を買うケースを見てみよう。
犬を購入すると、サークルとトイレとフードといった子犬キットが付いてくるらしい。店員からは「子犬はサークルに入れて飼うんですよ、運動は室内で十分です」と告げられる。犬初心者の飼い主さんは家に帰り、サークルを組み立て、店員のありがたいお告げに従う。かわいい子犬との心温まる日々が今すぐ始まると思っていたのに、どうしたことか子犬はキャンキャン鳴き続けてしまう。お告げにきちんと従って行動したはずなのになぜ?と、途方に暮れた飼い主さんは慌ててネットでググってみる。しかし、犬の専門家らしき人も店員と同じことを言っているサイトしか見つけられない。
正しいことをしているのに、何でうちの子はキャンキャンとうるさく鳴き続けるんだろう、私はどうすればいいんだろう、こんなはずじゃなかった、病気の子犬をつかまされたんじゃないか…と悩みの沼にはまってしまい、育児ノイローゼのようになる飼い主さんは少なくないらしい。これは極端な例かも知れないが(そう信じたい)、似たような話を聞くたびに私が感じるのは、常に次の二つだ。