文:北條美紀
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昨年、ワンダーハーブさん主催の「愛犬との絆を深める 犬と人の心の謎解き」というワークショップでお話しする機会をいただき、飼い主の皆さんと交流する素敵な時間を持つことができた。その第5回目のテーマは「私たちの考える『犬版:欲求の5段階説』を作ろう!」だった。というのも、昨年8月に、オランダのユトレヒト大学獣医学部の研究チームとアメリカのドッグ・リホーミング・プロジェクが実施した、犬のニーズを客観的に把握する枠組みを作ろうという研究結果が公表されていたからだ。
この研究のポイントの一つは「ヒトには擬人化する癖があり、自分の欲求を犬に投影することで犬の行動を誤って解釈し、犬の欲求や感情を誤解する」ため、「この研究によってヒトは犬を擬人化する傾向から脱却し、犬とヒトの欲求が必ずしも同じではないことを認識することで犬のQOL向上をはかれる」という主張だ。確かにそうなのだろう。ただ、論文を読んだ後の私の感想は、「犬の欲求ってもっと生き生きとしたものなんじゃないの?」というものだった。だから、