文:尾形聡子
[Image by JackieLou DL from Pixabay]
先日の藤田りか子さんの記事「「家庭犬は、野良犬に比べて本当に幸せなのか?」の科学的議論」が記憶に新しいところで、今回は「自分が一緒に暮らす犬」と「ほかの犬」の福祉に対する人々の認識に関して調査した興味深い研究を紹介したいと思います。
藤田さんの記事にあるように、地球上に暮らす犬の半数以上が誰にも所有されていないビレッジドッグです。そのような犬をはじめ、同じ犬という生物であっても人から見れば犬の立場はさまざま。自分の犬、ほかの一般家庭で暮らす犬、盲導犬や家畜番犬、牧羊犬など各種作業犬、野良犬、そして野生化した犬など生活環境によって犬に対する認識が異なります。
犬でありながらも、地球上に暮らす犬にはこのようにいくつもの種類があります。これらの各種類の犬(犬種ではなくて)に対し、私たちは同じように犬を捉え、扱うものでしょうか。犬生の幸福度はどの種類の犬でも同じと考えるでしょうか。
2000年代に入ってから、犬の福祉についてさまざまな切り口で研究が行われるようになりました。たとえば保護犬の問題、一般家庭に暮らす犬の問題、遺伝性疾患の問題、繁殖に対する問題などが挙げられますが、基本的には一つあるいは二つ程度の犬の種類に焦点を当てたものです。しかし前述したように、犬は犬でもいくつもの種類があります。
そこで、オーストラリアのモナシュ大学、メルボルン大学、ラ・トローブ大学の研究チームは犬の福祉を広い視点で捉えるために、犬の福祉状態が人にとって重要だと考えられているかどうかも含め、野良犬、家庭犬、作業犬など犬の置かれている立場や持つ役割によって認識される福祉レベルが異なるかどうかを調べるべく、アンケート調査を行いました。
さまざまな犬の福祉度は?
アンケートは4つのセクションからなっていました。