文:藤田りか子
Photo by [Stewart Black]
「都市に住む大多数の犬は本当に幸せなのか?」
「元ノイヌとして暮らしていた保護犬は家庭犬としてより幸せになれるのか?」
というテーマの記事はこれまでに犬曰くに何度か登場している。全てのノイヌが保護され、都市生活の中で幸せな生活ができる、とは個人的には思っていない。私が住むスウェーデンでも、ルーマニアなど東欧の犬を保護する人がいるが、脱走されたりと、なかなか飼うのが大変そうなのである(つまり犬は家庭環境を楽しいと思っていない)。 もちろん例外はあるだろう。
しかしノイヌはノイヌの生活で満足しているのではないか?ただし狂犬病予防のためにノイヌや野犬は駆除の対象だ。駆除で殺されてしまうのは愛護に反する、ということで保護活動は世界で盛んである。
私がかねてから投げかけていた「家庭犬として生きる野犬は幸せなのか?」「野犬は不幸な犬なのか」の疑問に間接的に応えてくれた最新の科学的考察を見つけた。デンマーク人のイーブン・マイヤーとスウェーデン人のビヨン・フォルクマンら(共にコペンハーゲン大学)が今年(2022年)発表したレビューだ。
なおこれまで犬曰くに掲載された野犬のウェルフェアに関する記事は以下を参考にされたい。
- 外国出身の保護犬はちょっと… – これもスウェーデンの犬事情 –
- ルーマニアから – 野犬を飼うのは愛護?
- 自由に生きるバリ島の犬が家庭犬になると、性格にどんな変化が起こるのか?
- 野犬出身の保護犬を考える
- センチメンタルと保護犬
ビレッジドッグとは?
このレビューが、これまでにおける犬のウェルフェアを扱った考察にはない独創的な点は、家庭犬のウェルフェアとヴィレッジドッグのそれを比較している点だ。イーブン・マイヤーらはまずは以下のようにビレッジ・ドッグについて説明をしている。