犬と触れ合うと、人の脳では何が起こるのか?

文:尾形聡子


[Image by Alexa from Pixabay]

犬をはじめとする動物との触れ合いが、人の精神や身体に良い影響を及ぼすと言われて久しく、ここ日本でも、こども病院や介護施設などの医療現場に取り入れられるようになってきました。動物介在療法(Animal Assisted Therapy:AAT)、いわゆるアニマルセラピーと呼ばれるものです。

AATは動物介在介入(Animal Assisted Interventions :AAI)のひとつで、そのほかに、目的をもって動物を介入する活動のAAIには動物介在活動(Animal Assisted Activity:AAA)と、動物介在教育(Animal Assisted Education:AAE)があります。

動物介在教育は動物を教育関連の現場に介入する活動のことで、動物介在活動(AAA)は医療(AAT)や教育(AAE)に当てはまらないものとなります。AAEに関しては藤田りか子さんが「犬を擬人化させないための大事な科学教育」にて紹介しているので、ぜひそちらをご一読ください。

このような動物介在介入において懸念されることのひとつに、そこに介入する動物の福祉があります。共に活動をしてくれる動物がストレスを感じていないかについての研究は数々行われていますが、たとえば犬においてそれは決してストレスではなく、人との触れ合いを精神的にプラスに感じているという研究結果もでています。

そもそもAAIの活動にはそこに参加する人と動物両方の健康と福祉を守ることを前提に細かなガイドラインが定められています(IAHAIO 動物介在介入の定義とAAI に係る動物の福祉のガイドライン参照)。目指すところはワン・ヘルス、そしてワン・ウェルフェアなのです。

個人差はありますが、動物との触れ合いによって人が精神的、身体的、そして社会的な恩恵を受けることは広く認識されるようになりました。しかし、なぜそうなるのかについて、オキシトシンやコルチゾール、心拍や血圧などの生理学的パラメータによる研究は行われているものの、神経学的な相関についてはよくわかっていないのが現状です。そこで、スイスのバーゼル大学の研究者らは人と犬とが触れ合うときに起こる脳活動の変化をより理解すべく、

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