文:尾形聡子
[photo by Maja Dumat]
犬曰くではこれまでに何度か怖がりな犬についての記事を出してきました。恐怖の感情は生物として必要ながらも、度を越してしまうと不安関連の問題行動として捉えられてしまい、そこから飼育放棄や安楽死などに繋がるという問題があります。また、犬自身の心身の健康に悪影響を及ぼすこともあるなど、犬のウェルフェアにとても密接に関わってくるものです。
恐怖は、恐怖を引き起こす刺激に基づいて大きく2つのカテゴリーに分けられています。そのひとつが社会的恐怖で、社会的恐怖とは見知らぬ人や犬など社会的なものから受ける刺激に誘発されます。もうひとつは非社会的恐怖といわれるもので、さまざまな物体、雷や花火などの騒音、新しい状況などから引き起こされるものになります。また、それぞれにおいて犬が見せる行動も多少異なります。たとえば見知らぬ人を怖がる犬は、その人を避けたり、そこから逃げようとしたり、吠えたりしますが、新しい状況を怖がる犬は、その状況から逃げようとしたり、パンティングをしたり、飼い主の近くに居たがったりします。
犬の過度な恐怖心は犬の福祉を脅かすもっとも深刻な問題のひとつとして考えているフィンランドのヘルシンキ大学のHannes Lohi教授は、長年にわたり犬の恐怖を引き起こす遺伝要因と環境要因についての研究を続けています。重要な要因を特定することで、犬の恐怖に関連する問題の予防と管理ができる可能性があるためだと教授はいっています。
以前、「何が愛犬をビビリにするのか?5つの後天的要因」で紹介した研究もLohi教授が率いたもので、そこでは犬の「社会的恐怖」に関係する環境要因が調べられていました。そして今回は犬の「非社会的恐怖」を研究対象とし、環境要因や人口統計学的要因の何が非社会的恐怖と関連しているのかを調べ