文と動画:藤田りか子
【Photo by Don Burkett】
犬にボールやおもちゃを投げるのは楽しい。犬は「待ってました!」と勢いよくボールに向かって走ってゆくものだ。しかし行きはヨイヨイ、帰りはブブブ…。ボールを持って帰ってくるものかと思いきや突然あらぬ方向ヘ走り出す。かと思えば、ついそばまでやってくるものの、手が伸ばされた途端に「取られるの、いやです〜」と逃げ回る犬もいる。
何故「行きはヨイヨイ」なのかというと、犬にとっては自分から逃げてゆくボールは、狩猟欲を大いに掻き立ててくれるから、追いかけたくなる。半数以上の犬は教えられなくとも飛んでゆくボールやおもちゃを追おうとする。ただし一旦くわえたものを律儀に飼い主の元に返しにくる、というのはやはり学習を通してではないとなかなか成就できない技である。でも我々としてはやはり愛犬とは協調関係でいたい。犬の一方的な「遊び」ばかりじゃ、こちらとしても面白くない。おもちゃやボールをきちんと持って帰る、それも手元でポトリとか落とさずに確実に掌中に返してくれる、というのはレトリーバーで回収技のスポーツ、あるいはオビディエンスを競っている人にとっても切実な願いであろう。
物品を手元に戻す、というトレーニングは星の数ほど方法があるが、ここでは「逆誘惑トレーニング」(こちらとこちらを参照)の考え方を使って