犬の繰り返し行動、どんな要因がある?

文:尾形聡子


[photo from pixabay] ジャーマン・シェパードは尻尾追いの反復行動を見せることの多い犬種。

繰り返し行動として知られる常同行動は、自然界においては観察されないものの、犬をはじめ飼育されている動物全般に見られる行動です。

たとえば、動物園で飼育されているホッキョクグマやトラなどが、同じ場所を行ったり来たり歩き続けたり(ペーシング)ぐるぐる回り続けたり(サークリング)、インコやオウムの毛づくろいが過剰になり羽を引き抜いてしまったり(毛引き症)、馬が固定物に前歯をひっかけ、空気を飲み込む行動(さく癖)などが常同行動として知られています。

犬の場合は、同じ場所をぐるぐる回り続ける、尻尾を追う、足先や尻尾に噛みつく、足先や脇腹などを舐め続ける、空中のハエを噛むような行動をする(フライトバイト)、何度も後ろを振り返る、などが見られます。

このような、動物が自発的に行う繰り返し行動は、その行動の種類や度合いはさまざまですが、大きく二つに分けることができます。ひとつは常同行動と呼ばれる、明らかな目的を持たない特定の運動パターンの繰り返し行動です。もうひとつは強迫行動などと呼ばれる、不適切な目的を達成するための繰り返し行動です。とはいえ、繰り返し行われる行動に目的があるのかないのか、機能的な行動であるのかそうでないかを判別するのが難しいことも多いため、以下、これらをまとめて反復行動と呼んでいきます。

一般的に犬の反復行動は1歳前後の子犬の時期に始まり、反復行動の程度や継続期間は個体によってまちまちです。これまでの研究から、犬の反復行動の原因は環境的な要因と遺伝的な要因の両方が関与していると考えられています。多くの場合において、欲求不満や退屈、運動不足、ストレスなどが反復行動を起こす引き金になると言われていますが、そのほかにも、痛みなどの健康問題、早期母子分離、不十分な社会化との関係も示唆されています。

反復行動は、その回数が増えるにつれ、さまざまな状況下においても行われるようになり、行動を途中でやめることが難しくなり、かつ、継続して行われるようになります。反復行動がひどくなると、犬の生活の質を低下させるばかりか、犬と飼い主との関係性を悪化させる可能性も出てきます。

ヘルシンキ大学のHannes Lohi教授率いる研究チームは、かねてより、犬の健康や福祉向上を目指して遺伝や行動などに関する研究を幅広く続けています。今から10年前の2012年、彼らは常同行動の中でも尻尾追いに着目し、ブルテリアなど4犬種を対象にした研究を発表していますが、今回は反復行動の種類を限定せず、犬種も絞らずに、犬の反復行動と環境、行動要因、そして人口統計学的な要因との関連性を広く探るべく、大規模アンケート調査を行いました。

どんな要因が反復行動の増加に関係しているか?

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