仲良くしていたのに!(どうして喧嘩するの?)

文と写真:藤田りか子

今までじゃれたり遊んでいたりしている犬同士が、何かの拍子で突然喧嘩するようになることがある。こういう時、どうしたらいいのだろうか。彼らの行動を直す手立てというものはあるのだろうか?

そもそも喧嘩し始めるのはケースバイケースであり、何が原因なのかその場に居合わせてよく観察してみなければなかなかわからない。飼い主を独り占めにしようとするがゆえに怒り出す犬もいれば、若い犬の思春期独特の過剰ホルモンが気に障って怒り出すオス犬もいる。決して原因はワンパターンではない。

そしてよく私たちはその喧嘩がまるで突然勃発したように感じるものだが、実際のところはその前に相手に睨みを効かせたり、「中指を立てて(!?)」挑発してみたりと、2匹の間で無言の会話が散々交わされていたあとだったりもする。私の愛犬であるラッコが、一群の犬たちと共に集団散歩していたことがあった。それまで散歩は全く平穏に進んでいたのだが、ある瞬間に1匹のオスと危うく大喧嘩に至りそうになった。私とそのオスの飼い主である友人は頭をかしげ「何故だろう?」と考えた。こういう喧嘩は何もかも順調に行って調子がいいぞ!とこちらが気を抜いているときによく起こる。が、この場合もおそらく出会った瞬間から2匹の間にはすでに「ピリピリ感」は走っていたのだと思う。時間が経過するにしたがって互いがうすらうすらに感じていたピリピリはいよいよピーク、ストレスとなり最後に爆発、そして喧嘩という形で表現されたに違いない。

「犬同士が喧嘩をした後、喧嘩した相手とどうしたら仲良くさせることができますか?」

と聞く人がよくいるのだが、我々犬仲間の間では「できるだけ相手と接点を持たせない」ということで解決策を見出している。そもそも相性が合わないから、あるいは相手の行動が何かと気に食わないから、喧嘩をする。攻撃行動というのは「あっちへ行って!」と相手から距離を開こうとするシグナルでもある。どうしてその距離をわざわざ縮め、仲良くさせようとしなければならないのだろう。人だって相性の合わない人と仲良くするように強制されたらイライラする。

私の知人のVさんとその友人のAさんの話もよく似たものだ。二人はよく一緒に犬散歩をしていた。散歩の後はどちらかの家でお茶をする。そして二人の犬も一緒に参加、散歩の続きで室内で遊び続ける。ところが、この2匹もやはりある日を境に遊んでいる途中、突然喧嘩をするようになったのだ。それも家の中に限って。Vさんは「どうしたら仲良くさせることができるのでしょう」と我々に悩みを持ちかけた。この時見事にというか誰も彼女に「こうしたら仲良くなれますよ」というトレーニング・アドバイスは与えなかった。我々の仲間の一人のSさんがこう助言した。

「そろそろ2匹にルールを持たせたほうがいいんじゃないかな。両方が室内にいるときはお互いの飼い主のそばで横になっていること、遊ばせないことって。多分、どちらかが自分の「モノ」を守っているんじゃないかと思う。だからそれを取り除いて防衛行動を煽らないようにする、というやり方があるかもしれない。けれどそれは何だか人には容易には分からないよね。水飲みのボールかもしれないし、寝床かもしれない、飼い主そのものかもしれないし…」

残念ながらこの行動(喧嘩)を2匹に続けさせる余裕はVさんとAさんにはない。さもないといつしかそれが癖になり、外で会っていても喧嘩をするという状態に陥るだろう。

北欧で人気なのがこのモコモコのマット。マットをどこにでも持ってゆき床に敷く。これが「ここに大人しくしていてね」という合図となり、トレーニングを受けた犬は大抵ここでリラックスすることができる。ケージではないという点にも注目。物理的な力に頼らないことで、飼い主との信頼をも培うことができるのだ。

「他の犬が室内にいる時は、大人しく飼い主の側についておく、という癖をつけさせるのが犬にとっても一番ストレスにならない方法じゃないかしら。マット・トレーニング¹もいいと思うよ。マットを持ってきてそこを犬の居場所として与える、そして落ち着かせるというトレーニング」

決して犬に対して怒ったり罰したりする必要はない。こんな簡単なルールを決めるだけで問題行動というのは随分回避できるものだ。

注1:マットトレーニングは日本でもかなり普及しているので、Googleなどで検索してみよう。トレーニングの仕方などが紹介されている。