散歩の時、愛犬に地面の匂いを嗅がせる派?それとも禁止する派?

文と写真:藤田りか子

地面嗅ぎやらせないのが正統派?

人間世界に住んでいる以上、 犬は何かと多くの規制を強いられ生きているものだ。だからこそ、散歩というものは犬にとって非常に大事なアクティビティ。人の生活に喩えれば「本を読む」「ソーシャルメディアに参加する」「友人と交流する」というぐらい、精神の健全性においても必要な活動でもある。となれば、散歩の仕方、というのは 犬を愛する我ら飼い主にとって、非常に重要なテーマになるはずだ。

さて、ひところ

「愛犬に地面の匂いを嗅がせながら散歩してはいけません!」

と提唱するトレーナーもいた。それは私が住むスウェーデンでも同様で、犬に任せ切って散歩させるというのは、まるで飼い主が犬をコントロールできていないようで「ダメ飼い主」として見なされていた。ところが、ある「ポジティブ系」の犬行動コンサルタントが

「散歩は多くの犬にとって一日のうちの唯一の楽しみ。好きなだけ地面の匂いを嗅がせてもいいではないですか。犬が気がすむまで嗅がせている飼い主を見ると私はホッとします」

と、スウェーデンの犬雑誌Härliga Hund(邦訳すると「素敵な犬たち」)に記事を出した。彼によると犬は嗅覚の動物、臭いを嗅いでそして確かめ探索すること自体が彼らの自然な欲求だから、と。この記事を執筆したのはスウェーデンでもポジティブ系トレーニングの元祖とも呼ばれる人で、カリスマ的な存在。アンデシュ・ハルグレンさんという。現在ベテランクラスに属するスウェーデンのポジティブ系トレーナーの多くは、一度ならずとも彼の教えを受けているものだ。アンデシュさんはスウェーデンのドッグ・トレーニングの世界に多くのアニマル・ウェルフェアの考えを吹き込んだ。アメリカがクリッカーをはじめとするポジティブ・トレーニングを推奨する90年代以前のことである。

その反響

犬のトレーニングについてディスカッションをするFBグループには驚くほど多くの反響が寄せられた。多くのコメントは

「彼の言い分に大賛成!」と言う人と

「何を言っているのかしら、これでは2時間かけても数メートルしか進まないじゃない」

など、かなり「白」と「黒」に分かれたものであった。中には皮肉なコメント

「カートに犬を乗せて散歩すれば、そんな問題が起きないで済みますよ!」

なども…。

個人的に賛同したコメントの一つは

「犬と過ごすと言うのはあくまでも共同作業です。散歩は犬だけのものではありません。私と犬、のチームワークではないのでしょうか」

だから、時には臭いを嗅がせるけれども、呼んだ時はやはりこちらにきて一緒に歩いてほしい、と。そして私の場合は人間の都合に合わせることが多い犬たちのために、散歩の他にノーズワークなどの犬目線でも楽しいエンターテイメントも用意する。もっとも最近では犬以上に私も大いに楽しんでいるのだが。

犬の性格にもよるだろう。最近家族の一員となったラブラドール・レトリーバーのアシカは呼べば、たとえ臭いを嗅いでいる途中でも喜んでやって来る。彼女にとって犬生面白いことは「飼い主と何かをすること」である。一方で、カーリーコーテッド・レトリーバーのラッコはオスであるせいもあるのだが、一度興味を持ったらその臭いの側からなかなか離れたがらない。

このようなディスカッションが行われる時、私が思うには「これ一つ!」という答えはない、ということだ。機械やコンピューターが壊れた時は、一つの解決法で満足してもいいかもしれない。でも、生き物を扱う時は、その時の状況や状態、飼い主と犬の性格など、様々な要因がある。だから「正しい答えはどれ!?」と探そうとするのは無意味のように思えるのだ。でも、アンデシュさんがこのような問題提起してくれたのは、やはり自分の散歩の仕方を改めて振り返ることができる意味で、意義ありだ。今日だって散歩をしながら自分と犬の接し方を意識してみたし…。

さて、みなさんは愛犬とどんな風に散歩をしていますか?