文:尾形聡子
尻尾がだらりと垂れ下がり、痛みがあるため犬が自ら尻尾を思うように動かせなくなってしまう状態になることがあります。通常は2、3日~2週間もすればまた元の通り元気に尻尾を振れるようになるのですが、このことを英語では Limber tail syndrome、または swimmer’s tail、cold water tail などといいます。日本ではコールド・テール(症候群)、スイマーズ・テールなどと呼ばれることが多いようです(以下、コールド・テール症候群といいます)。
コールド・テール症候群は比較的短い期間で自然に治癒するため、動物病院での診療も少なく、科学専門雑誌に最初に発表されたのも1997年と今から20年ほど前のことです。これまでにコールド・テール症候群では筋肉の炎症が見られる報告がされていますが、ハッキリとした原因は示されておらず、ポインターやレトリーバーなどの大型の猟犬種で実際に作業犬として働いている犬によくみられるといわれてきました。