短頭種のBOASは改善できるのか〜呼吸機能の遺伝率から見えてきたこと

文:尾形聡子


[photo by Ermolaev Alexandr]

短い鼻、大きな目、丸い顔。

短頭種の特徴的な外見は、長いあいだ「かわいらしさ」と結びつけられてきました。しかしその一方で、そのような外見的特徴が呼吸に大きな負担を与えていることも、近年では広く知られるようになってきています。

犬曰くでもこれまで、短頭種気道閉塞症候群(BOAS:Brachycephalic Obstructive Airway Syndrome)について繰り返し取り上げてきました。呼吸音やいびきが「その犬種らしさ」として見過ごされがちであること、そして慢性的な呼吸障害が、睡眠や体温調節、消化器機能など全身の健康状態にも影響しうることを紹介してきました。

さらに近年では、BOASを単純に「鼻が短い犬の病気」として説明するだけでは不十分であることも見えてきています。以前紹介したイギリス・ケンブリッジ大学を中心とする研究グループの大規模調査では、同じ短頭種であってもBOASのリスクには大きな幅があり、顔の形態だけではその違いを十分に説明できないことが示されました(詳しくは「短頭種の呼吸器疾患BOAS、発症リスクは一様ではなかった」参照)。

つまり、「短頭種だから危険」「短頭種でも問題ない」という単純な話ではなく、同じような外見をしていても、呼吸機能の状態には大きな個体差が存在しているということです。

では、その呼吸機能は、繁殖によって改善していけるのでしょうか。

この問いに真正面から取り組んだ研究が

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