愛犬の「実行機能」をチェックしてみよう!

文と動画:藤田りか子

[Photo by Thomas H]

え、何、実行機能って?そして犬とどう関係があるの?

いやいや、これとっても関係あることなのだ。複雑なヒト社会の中で調和して生活をすることが求められている現代の家庭犬にはぜひとも必要な能力、実行機能。今回はあなたの愛犬にどれだけその機能が備わっているのか、それを知る手がかりとなる面白いテストを紹介したい。

行動と思考を適切に制御する能力

まずは実行機能について簡単な説明から始めよう。そもそもこれは人の認知科学の世界で発達したコンセプトだ。何かをやり遂げる!と決めたときに、たとえ簡単なタスクとはいえ、我々の頭脳はかなり忙しく働いている。それをほとんど無意識にやり遂げているので気がつかないかもしれないが、そこに自分の気持ちを制御することがあったり、習慣からではなく短期記憶に基づいて物事を決定したり、考えを切り替えたり…。たとえば「今、友達から来たライン読みたいけど、この仕事のあとで」とか「このボタンを押し続けないで、今度はあっちを押さないと」とか「さっききたメールの返信を今しておかなければ」などなど..。脳内ではこのような情報を瞬時にして処理をしているのだ。そしてその処理能力については当然個人差がある。

実行機能の解釈は人よって様々ではあるが、進藤(2021)によれば

「目標を達成するために自己の行動または思考を適切に制御する能力」

とされる。いわゆるADHDとか自閉スペクトラム症などの発達障害を持つ人は逆にこの機能が低いとも言われている(ただしその関連性が必ずしもあるとは限らないそうだ)。よって「実行機能」でググると発達障害に関するサイトに多くヒットする。

この言葉をより具体的に理解をするために、Miyake et al.(2000)が提唱する「実行機能の三要素」を引用したい。それらは

  • 抑制(行動の衝動を抑える能力)
  • 切り替え(注意の対象を変え変化を許容する能力)
  • ワーキングメモリー(当該の状況で必要な情報を一時的に頭に留めておく能力)

で成り立つ。ここで初めて「もしかしてこれは犬のしつけと関係あるコンセプトかもしれない」と閃いた人もいるのではないかな?そう、特に「衝動の抑制」という言葉が出たからには、思い出す用語があるはずだ。ほら、よく犬のトレーニング世界で言われている「インパルスコントロール」!これまで犬曰くでも何度か衝動抑制(インパルスコントロール)についての記事を発表しているのでご存じの人も多いだろう(本記事末の関連記事リストを参照に)。

愛犬の実行機能をテストするには?

実行機能についておおまかな理解が得られたところで、愛犬に「実行機能」のテストをしてみよう。これを実際に自分で試すことでより実行機能についてさらに深く知見を得られると思う。まずは以下の動画を見られたい。

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