モチベーションの敵、犬の「がっかり感」を探る

文:藤田りか子


[Photo by Ryan Walton]

みなさんは、愛犬のがっかりした様子を目撃したことはあるだろうか?ちなみに「がっかり」という言葉の意味は、「期待が外れて気落ちする様」と辞書にある。

こういう状況に覚えがあると思う。犬と外に出ようと思ってジャケットを羽織った。その瞬間、犬は「散歩だ!」と大喜び。しかし、突然用事を思い出し外出を急遽撤回。そんなとき、犬のがっかりしたような様子を見たことがあるのでは?うちのラッコだったら「えー!!??」という感じでしばらくジタバタするのだが、その後シュンとして自分の寝床に引っ込む。

あるいは、犬が上手に技をこなしてくれたので、トリーツを与えようと思いポケットを探る。がトリーツはもうなくなっていた。ポケットを探る動作まで見せていただけに、そばで犬は期待に満ち満ちた顔。仕方なく「ごめーん、トリーツないや。でもいいこねー」と褒める。こんなとき、うちの犬ミミチャンは「ね、褒めなくてもいいから、トリーツはどこ??」と撫でようとする私の手をスイっと避けてこちらの顔をじっと見つめる。

こんな風に日常のそこかしこで私たちは犬の「がっかり」に出会っているはずだ。だが本当に犬はがっかりしているのか?それとも私たちが擬人化しすぎて、人の感情を単に犬に投影しているだけなのか?そういえば、犬は罪悪感を感じるのか否かという、かの有名なホロウィッツの研究(2009)があった。覚えている人も多いはずだ。食べ物を盗んだ犬が現場を押さえられ怒られると「ごめんなさい」の表情をする。さて本当に犬は罪悪感を感じているか、という検証だ。結論は犬にはごめんなさいという感情はなく、それは我々の擬人化にすぎなかった、というものだ。

実は犬のがっかり感については、すでにいくつかの研究によって科学的に説明されている!その検証のためにどんな実験が行われてきたのか、その一つを紹介したい。ご褒美を使って犬をトレーニングする際の、大事なヒントになると思う。そう、なにしろトレーニングといえば、モチベーションの維持。そしてガッカリ感こそ、モチベーションの敵なのである。

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