オス犬の潜在精巣、遺伝とエピジェネティクスとの関係

文:尾形聡子


[photo by Eva]

生殖器における病気には性差があります。そのような病気のひとつが潜在精巣で、オスにだけ発症する可能性のある病気です。停留精巣、停留睾丸、陰睾などとも呼ばれています。繁殖に直接的に影響を及ぼす病気であるため、犬だけでなく人での研究も数多くされていますが、いまだこの病気の正確な発症原因はわかっていません。

潜在精巣とは

犬の潜在精巣は、胎児期~出生直後に腹腔内にある2つの精巣が、一定の時間が経っても腹腔内や鼠径管に留まり陰嚢と呼ばれる袋の中までしっかりと降りていない状態にある、先天性の生殖器発達障害です。犬の精巣は通常生後10日くらいに鼠径管を通過しますが、片側の潜在精巣の場合には下降してくる時期が遅れることも多く、生後半年を待ってから確定診断が行われています。

潜在精巣は片側(1つ)あるいは両側(2つ)に見られます。正しい位置に降りてこないと精子を作る精原細胞が減少するため、

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