ノルウェーにて憧れのラリーオビディエンスの先生に会う!

文:近藤奈緒子

写真:藤田りか子

ノーズワークスポーツクラブの推進メンバーである近藤奈緒子さんによる「北欧、犬をめぐる旅シリーズ」その4をお届けいたします。今回はスウェーデンの隣国であるノルウェーに足を伸ばして、そこで憧れのラリーオビディエンスのインストラクターであるソルベイ・セッテルストレム先生に会うことに!トレーニングを見せてもらったりおしゃべりをしたりと楽しいひと時を過ごすことができました。

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ラリーオビディエンスとの出会い

初めてスウェーデンを訪れた2018年に、私はスウェーデンの南部ロンネビーでスウェーデンケネルクラブ100周年記念の大きな大会を見に行った。数ヘクタールにも及ぶだだ広い公園を貸し切って、ノーズワークを含めさまざまなドッグスポーツの競技会が同じ会場内で開催されていた。会場を歩いているうちに、たまたま見かけた競技がラリーオビディエンス(ラリオビ)であった。ふと興味が湧き、リンク脇で見学することにした。


2018年にスウェーデンでラリオビの様子を初めて見たとき [Photo by Naoko Kondo]

実はノーズワークを始めるまでドッグスポーツ競技にはあまり関心がなく、ラリオビについても何の知識を持っていなかった。しかし見ていると、ハンドラーがスタートラインの前に立つまで盛り上げるように軽快な音楽が流れ始めたり、見事クリアするとまた音楽が流れ観客も拍手で称えたりするなど、ギャラリーも含めて競技会とはいえ雰囲気がとてもリラックスして楽しそうなのだ。それ以来このスポーツのことを気にかけるようになった。

日本でもラリオビはジャパンケネルクラブやOPDESといったドッグスポーツ団体でも公認競技として採用されている。しかしよく知られているオビディエンスとはまた異なる。リンク内にいくつものパネルが置いてあり、その指示通りの技をこなしながら先に進んでいく。変化に富んだ面白い競技だ。

ソルベイ先生とオンラインセミナーを始めた!

あれから数年経った2022年の夏、りか子さんがラリオビのノルウェー代表チームのコーチを務めるソルベイ・セッテルストレム先生を紹介してくれた。これを機にソルベイさんによるZOOMを使ったオンラインレッスンを日本のハンドラー向けに開催した。同時に私もラリオビの勉強を始めた。

月に1回、2時間の講義を受けて宿題が出るので、それを動画に撮って提出するのだが、実際にやってみると初心者でも始めやすい。ラリオビの競技のルールを学びながら取り組むと、ノーズワークを学んでいたときと同様、試行錯誤する面白さを感じるようになった。つまづきも多いが、ソルベイ先生の指導はとても細かく分かりやすい。アドバイス通りにやってみることで、クリアできることが沢山あった。実力試しにラリーオビディエンスのトライアル(競技会)に参加するまでさほど時間はかからなかった。

いざノルウェーにレッツゴー!

スウェーデンを訪れた目的はノーズワーク競技会を見ることだった。しかしノルウェーはスウェーデンと隣接しており、りか子さんの住むところからソルベイ先生の住むところまでは車で3時間くらいの距離にあると知った。これは会わない手はない。日頃のお礼を直接伝えることができる。りか子さんのご好意にも甘えて、車で連れて行っていただくことになった。


ノルウェーの道路標識もスウェーデンのそれとは多少異なる。これは「ヘラジカ出没に注意」のノルウェー版。スウェーデンだと赤枠に白でなく黄色い三角となる。[Photo by Naoko Kondo]

スウェーデンからノルウェーは地続きだが、りか子さんは愛犬達をノルウェーにはいっしょに連れて行かないと言う。その理由は、国境を超える際に、5日以内にエキノコックスの駆除剤を投与した獣医師からの証明書携帯が義務付けられているから、ということだった。過去にそのような法律はなかったのだが、国をまたいだ伝染病蔓延防止の目的からそのように近年変更されたのだという。りか子さんの愛犬たちは、この日パートナーのカッレさんにお任せして2人でノルウェーへと向かった。

国境は車で超えた。国境の税関に国旗がはためいている以外、景色は特に変わらない。ただ、微妙に建物の色が異なる、道路の白線の色が黄色に変わった、道幅が狭い、などほんの少しの違いがあるぐらい。目的地のソルベイ先生宅に着き、先生がいつもラリオビの練習しているという地域の施設に連れていってもらった。

実際の練習を見る

施設の運営はケネルクラブの傘下にあるワーキングドッグクラブが行っており、元は牛を飼育していたファームをリノベーションしているものだった。クラブのメンバーなら誰でも使用できるという広い屋内施設で床には、全面に人工芝が敷き詰められている。とても広く、ラリーオビディエンスの人以外にも、アジリティやオビディエンスの練習をする人にもシェアされている。使用できる日時はトレーニングの種類によって割り振られているそうだ。


トレーニング施設はワーキングドッグクラブの運営。元は牛を飼育するファームだったところをリノベーションしているものだった。

先生のシルキーテリア、エルサとのラリオビ練習風景を見せてもらった。先生はすらりとした背が高い女性だが、自ら考案したテクニックで小型犬も上手にハンドリングする。いつもの指導の通り、練習の時から本番を意識して取り組むことを自ら実践されていた。それは会場入りするところから始まっている。印象的であった。

施設には、先生の教え子も練習に来ており、その様子も少し見学した。その愛犬はノルウェージャン・エルクハウンド・ブラックという犬種で、黒い甲斐犬のような外見をしていた。プリミティブ系犬種なのでトレーニングは難しいはずだとりか子さんが解説してくれたのだが、教え子もまた上手にトレーニングをしていた。その後少しだけ私も先生のドッグトレーニングベストを借りてエルサをハンドリングをさせてもらった。


私も先生のドッグトレーニングベストとエルサを借りてハンドリングをさせてもらった!

練習を終えた後、ラリオビのための金属製パネル立てをお土産に一ついただいた。風が吹いても倒れそうもないそのパネル立ても、ラリオビグッズとして北欧では一般的に販売されているものらしく、日本では見たことがないタイプだ。先生は多忙につき午前中だけの対面だったのだが、ずっと笑顔で色々なことを話してくれた。短いノルウェー訪問だったが、とても有意義な時間だった。

りか子さん曰く、ノルウェーの北の方に行くとスウェーデンとは異なる美しい景色が広がっているのだという。一体どんな景色なのだろう。ノルウェーにいつかまたゆっくりと時間を作って訪問したいなあ、と思いながら、国境をまた超えてノルウェーからスウェーデンへと帰った。

文:近藤奈緒子(こんどうなおこ)

ドッグトレーナー。SCENT LINE(セントライン)代表。2006年より東京を拠点に各地に赴き、出張トレーニング、シッター、ドッグウォーク等を行う。犬の持つ才能を活かしたいという思いから、2002年より嗅覚を使ったアクティビティや、家庭犬向けのドッグトレーニングを学び始め、2018年より北欧流ノーズワークに力を注ぎ、ノーズワークスポーツクラブ(JNWSC)の推進メンバーとして設立に携わる。愛犬は沖縄で保護された琉球犬Mix  名前はやんばる♀ 2014年11月生。http://www.scentline.jp/

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