ラブラドール・レトリーバーの「Will To Please 」〜ウィル・トゥ・プリーズ 〜は本当にある?

文と写真:藤田りか子


アシカ。猟欲はとても強い。鳥の回収が何よりも大好きなラブラドール・レトリーバーだ。

なぜある犬は他の犬よりも人とのコンタクト性能がいいのか?犬の気質とは何からできあがっているのか?そんなことを悶々といつも考えている。今回はそれをラブラドール・レトリーバーを例として取り上げ、考察してみた。

最初からできあがっていたアシカ

犬曰くの長年の読者の皆さんならご存知、うちのラブラドール・レトリーバーのアシカはフィールド系のラブラドールだ。およそ7年前、8週齢にて我が家にやってきた。いっしょに暮らし始め2、3日後、この子は普通の犬と何か違うということに気がつき始めた。こちらの意向をほんの少しの示唆で理解するのだ。それもこんなに幼いというのに!彼女の「おませぶり」については記事をかいたほどだ。

階段を降りるとき、自分ででたらめに駆け降りちゃダメだよ、といったら、そのときから必ず私の一歩後ろを歩くようになった。話しかけようと顔を見ると、目をさらに丸くしながらじっとこちらを窺う。散歩道で自分が先に歩いているときは、ときどき振り返っては私が何をやっているかチェックする。遠くにシカやネコを見つけても、そこで立ち止まり私の顔をさっと見上げる。Look At That(あれ見てよ!)のトレーニングを敢えて施さずとも、すでにやるべきことを習得していた。3歳になるまで、トレーニングの際も特にご褒美のトリーツを与えることも禁止の言葉の「ダメ」を言うこともなかった。というか、その必要がなかった。この毛衣の中にはもしや人が入っているのではないか、としばしば目をこすったものだ。


アシカ、4ヶ月齢の頃。すでにこの頃から横につけて歩くというのは全く苦にならなかった。ご褒美もなにもつかわず、彼女は従った。

これがラブラドール・レトリーバーの犬種特質を表す言葉「Will To Please」のなせる技なのだろうか。彼らの犬種スタンダードに気質として記されている有名な言葉だ。

Intelligent, keen and biddable, with a strong will to please.

賢く、熱心で、素直で、人を喜ばせたいという強い意志を持っている

特にフィールド系のラブラドール・レトリーバーには、家庭犬タイプよりも、より強調された形でこの性質が備わっている。ただ中には「犬は結局エゴイストな動物なのだから、そんなもの存在するわけない」とか「飼い主にリーダーシップがあれば、そういう犬に自然となる」などという人もいる。自然科学系出身である私もさすがに「犬に人を喜ばせたい気持ちがある」という風には考えることはできなかった。しかしアシカに感ずるあの「Will To Please」は、さもなければ一体何なのだろう…?

Wlll To Pleaseじゃなければ、何?

あるときレトリーバー仲間でそのことについて意見を交わしたことがある。ここにちょっとその会話を紹介しよう。

………….

筆者:フィールド系のラブは本当に「人を喜ばせたい」という風に

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