文:尾形聡子
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犬には感情がある。聞くまでもなく、犬と暮らした経験のある人はそう確信しているはずです。では同じくペットとして人気の猫はどうか、ウサギは、鳥は、金魚は昆虫は…?などとなっていくと、脳を器官として備える動物が持つ感情ははたしてどの程度複雑なものなのか、十把一絡げに判断することはできなくなるでしょう。
これだけ科学が発達した今もなお、犬や猫のような身近な伴侶動物たちがどこまで複雑な感情を抱くことがあるのか、完全には明らかになっていません。家族の一員として考えられるようになっている犬や猫に対して人間側の感覚を当てはめて考える、すなわち擬人化してしまうきらいがありますが、脳が高度に発達した人間が抱くような感情を彼らが同じように感じているとは限りません。
擬人化が過ぎれば、犬や猫が実際に感じている感情に対する反応ができなくなることがあります。たとえばそのような感情の読み違いは犬の攻撃行動を促してしまう恐れがあり、誰もが望まない咬傷事故につながる可能性が出てきます。感情の読み違いは、人と密に関わって生活する犬や猫などの動物の福祉を低下させるリスクを孕んでいるとも言えるでしょう。
犬の感情状態を正しく解釈できることは飼い主と犬の関係を作っていく上で重要です。しかし私たちは言葉を使って犬とコミュニケーションを取ることはできませんので、ボディランゲージや発声、その場の状況から犬の気持ちを察することになります。よって当然のことながら、受け取り手となる人によってその解釈にばらつきがでてくるものです。もちろん犬も性格の違いや生活環境の違いにより、ボディランゲージのあらわしかたの程度や頻度などが異なるでしょう。
飼い主が報告する犬や猫の感情にばらつきがあるのは、