文:尾形聡子
[photo by Bennilover]
古くは人の知能の高さは脳の大きさに関係するといわれていました。しかし近年、人や霊長類のみならずあらゆる生物の脳研究が進められ、必ずしも脳の大きさだけが知能に影響を及ぼしているわけではなく、脳の構造、ニューロン(神経細胞)の数やネットワーク、情報処理能力などが関係してくることが分かってきています。たとえば最近では、犬をはじめ猫、クマ、ライオンなど様々な動物の大脳皮質にあるニューロンの数を数えたという研究が『Frontiers in Neuroanatomy』に発表されています。人には約160億個のニューロンがあるところ、犬ではその数、約5.3億個。研究の対象とされた動物の中でもっともニューロンの数を多く持っていました(ちなみに猫は2.5億個)。
https://www.discoverychannel.jp/0000005298/
体の大きさと脳の大きさはある程度比例するだろうものの、その研究では脳が大きい方がニューロンの数が多いというわけではない結果が示されました。つまり、大脳皮質におけるニューロンの密度が動物種によって異なるということです。しかし、犬は犬種によって大幅に体の大きさが違います。実際にこの研究で対象とされた2頭の犬では、ゴールデン・レトリーバーは約6.3億個、ゴールデンより小さいミックス犬は約4.3億個のニューロンと、その数に違いがみられました。
もし、犬という動物が持つ平均的なニューロンの密度があり、犬の体の大きさと脳の大きさが比例するならば、
「体が大きい=脳が大きい方がニューロンの数が多い=知能が高い」
という方程式が成り立つのかという疑問が自然と生じてくるものです。
そんな疑問に答えるべく、