文と写真:アルシャー京子
DCMに罹患し突然死を迎えた友人のドーベルマン。2歳半で診断され、発症してこの世を去るまで、それでも4年間飼い主との楽しい時間があった。
公園やドッグランで思い切り遊んで満足そうな愛犬の顔を見た後に、何の前触れもなく突然死が訪れる。犬と暮らすものにとって悪夢としか言いようのないこの現象、その原因の一つに拡張型心筋症という疾患がある。
拡張型心筋症は英名Dilated Cardiomyopathyを略してDCMと呼ばれ、その名の通り心臓が次第に弛緩し大きく拡張していく疾患である。心臓が大きくなると言ってもただ全体的に大きくなるだけではない。何らかの理由により心臓の筋肉が障害を受けて弛緩し、収縮力と心筋の厚みを失っていくことが心臓の大きさを変える、つまり心臓の筋肉が伸びて薄くなっていく、そういう疾患である。水が適量に入った水風船は弾力があるが、水が入りすぎた水風船は表面がぱんぱんに張って薄く、弾力がない。それに似たことが心臓で起こると言えばイメージしやすいだろうか。