文:尾形聡子

[photo by Nicole Kandi]
犬は、人の行動を見て学ぶことができます。他者の行動を観察したり、結果を手掛かりにしたりして学ぶことを「社会的学習」といいまが、その学び方は、どの犬も同じなのでしょうか。
以前、藤田りか子さんが「わたしのせい?犬種のせい?〜人の話を聞かない犬」で紹介していたハンガリーのエトヴェシュ・ロラーンド大学の2024年の研究では、犬種がもともと担ってきた仕事の違いによって、人からの学び方に差があることが報告されていました。人と協力して仕事をするよう選択されてきた犬種(協調的作業犬種)と、人から離れた場所でも自分で判断して仕事をするよう選択されてきた犬種(独立的作業犬種)とでは、人の実演を見た後の課題成績に違いがあったのです。
実験に使われたのは、向こう側が見えるV字型の金網の柵を回り込んで、柵の後ろにある報酬を手に入れるという、「V字回り道タスク」と呼ばれる課題です。人が実際に回り道をしてみせると、協調的作業犬種では試行を重ねるにつれて報酬に到達するまでの時間が短くなりましたが、独立的作業犬種では同じような改善は認められませんでした。
では、独立的作業犬種の犬たちは人の行動を見て学ぶことをしないのでしょうか。また、同じような仕事をしてきた犬種の犬なら、みな同じように学ぶのでしょうか。
この研究を行った研究者たちは、その後も回り道タスクを使って犬たちの行動を調べ続けてきました。そして2026年、これまでの実験データを新たな視点から分析した研究を発表しました。今回は犬種を先にグループ分けするのではなく、

