文:尾形聡子

[Illustration by ChatGPT(AI生成)]
犬にとって、においを嗅ぐことはとても大切な行動です。人よりもはるかに嗅覚に頼って世界を認識している犬にとって、鼻を使って周囲を探索することはもとより、さまざまなにおいに触れるだけでもシェルター犬の福祉向上につながるなど、嗅覚への刺激が犬の心身の健やかさにも関わっていることがこれまでの研究から示されてきました。
そんな犬の嗅覚を存分に使うことのできるドッグスポーツが、ノーズワークです。犬曰くでもこれまで、ノーズワークについて数多くの記事を紹介していますが、ノーズワークをすることで犬が得られる効果を科学的に検証した研究も少しずつ増えています。そのひとつが、2019年にアメリカのコロンビア大学バーナード・カレッジのアレクサンドラ・ホロウィッツ博士らが発表した研究です。
家庭犬をノーズワークとヒールワークの2つのグループに分け、それぞれ2週間毎日トレーニングを行ったところ、ノーズワークグループの犬では、認知バイアステストで「あいまいな状況」をよりポジティブに捉えるようになることが示されました。この研究について詳しくは、「愛犬にもっと楽観的になってほしい?ならばノーズワークを!」を、認知バイアステストについては「愛犬は楽観的?それとも悲観的?思考傾向を知るための認知バイアステスト」をご覧ください。
では、においの世界に生きる犬たちにとって、ノーズワークにはほかのトレーニングにはない特別な効果があるのでしょうか。
2019年の研究は興味深い結果を示した一方で、トレーニング期間は2週間と短く、アメリカの一般的なグループ形式のドッグトレーニングクラスとは異なる条件で行われていました。そこで、アメリカのタフツ大学の研究者らは、より実際のトレーニングクラスに近い環境で、ノーズワークとオビディエンスに取り組むことが犬の行動や感情状態、犬と飼い主の関係にどのような影響を及ぼすのかを比較

