鎮痛剤を犬に飲ませてまで競技会に出してはいけない、という動物のウェルフェア

文:藤田りか子


[Photo by Rikako Fujita]

私は日本のノーズワーククラブ、ノーズワークスポーツクラブ(JNWSC)にて、スウェーデンからのルールや考え方を紹介するという役目を担っている。その中でも、犬のウェルフェアに関するルールについては、日本で実際に運用していくことはなかなか難しいものだと感じている次第だ。というのも、日本の他のドッグスポーツクラブでの前例があまりないからだ。

たとえば、日本の犬に多いパテラ(膝蓋骨脱臼)を患っている犬は競技会に参加できるのか。あるいは、XXという目薬を使っている犬は競技会に参加できるのか。そんな質問がクラブに寄せられることがある。我々のクラブではスウェーデンのクラブにならい、「ドーピング」に関する規則を取り入れている。そのため、疾病や負傷の状態、あるいは使用している治療薬や受けた処置によっては、一定期間競技に参加できない場合もあれば、競技参加そのものについて個別に検討する必要がある場合もある。

時に厳しすぎるという声もでている。そうなのだろうか。このような規則を取り入れたクラブが日本にも登場している今だからこそ、ウェルフェアという考え方をわが国の犬業界、およびドッグスポーツ界にも根づかせていくチャンスなのではないかとも思ったりする。法律に頼らず、我々草の根レベルでウェルフェアを充実させることは決して悪いことではないはずだ。

何はともあれ、スウェーデンでの犬の競技会に関する福祉倫理について今一度整理しておきたい。

動物競技に関する法令があるスウェーデン

スウェーデンでは、犬の競技参加についても、ウェルフェアに関するルールがかなり浸透している。その背景には、まず国が定める動物保護法がある。さらに、それを具体化する規則のひとつとして、スウェーデン農業庁が定める「動物のトレーニングおよび競技に関する規則および一般的助言(SJVFS 2019:26)」が

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