この犬種似てる、でも違う! その3 フレンチ・ブルドッグそしてボーダー・コリー

文:藤田りか子


この犬種はなんでしょう?ボーダー・コリー….? 答えはオーストラリアン・シェパード![Photo by massimo mancini]

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フレンチ・ブルドッグとボストン・テリア


[Photo by Erik Mclean]

まず出身地に違いがある。フランスとアメリカ(ボストンはアメリカ)。おのおのの土地で、血統種として確立された。

フレンチ・ブルドッグの顔を見分けるのならまずその耳。バットイヤー(こうもり耳)と呼ばれる。単なる立ち耳ではなく先が丸みを帯びている。これはイヌの世界広しといえど、フレンチ・ブルドッグにしかない特徴だ。ボストン・テリアとの耳先とも比較して欲しい。フレンチ・ブルドッグと同じように立ち耳だが、形はVシェイプ。

そしてボストン・テリアが他の短頭種の犬と決定的に違うところ。それは…?

つぶれ鼻犬種なのに皺がないところ。それでも顔に「クシャ感」が表現されているのは、短くてコンパクトなマズル、短くて幅のある顎のため。マズルは頭部の長さの1/3とスタンダードは定義する。これに比べると、フレンチではさらにマズルの長さが縮まる。スタンダードでは「マズルの長さは頭部全体の長さの1/6」と定義する。ボストン・テリアはフレンチブルドッグ同様に、ブルドッグの親戚だが、テリアの血も入っている。それで頭部を含め全体的に割合すっきりしている。ボストン・テリアをミニチュアボクサーという人もいるぐらいだ。

それでも、フレンチ・ブルドッグとボストン・テリアをどうしても見分けられない場合は、目と目の間の白斑(ブレーズという)を見てみよう。これはボストンのトレードマークでもある(ブレーズなしでも失格ではないがある方が好ましい、とスタンダードには記されている)。

フレンチ・ブルドッグは、道化師というあだ名を持つぐらい、何をするにもユーモアに溢れている。ボストンはクシャ顔犬特有の「ユーモア」とか「愛嬌」に加え「おしゃれ」という形容が合う犬だ。コートのはっきりとした色の取り合わせも都会的(くつクリームのトレードマークにも使われている)。

オーストラリアン・シェパード、シェルティそしてボーダー・コリー


[Photo by svenaw]

オーストラリアン・シェパードは、まだ日本ではレア種である。実際に目の前にして何の犬種かな?と疑問におもったとき、たいていはシェルティの大型化したものか、あるいは太ったボーダー・コリー?と間違えてしまうこともしばしば。ちなみに、この犬種ではセーブルは存在しない。なのでセーブルであれば、シェルティかコリーかを考えた方がいいだろう。たいてい見かけるのは、マール柄だ。ボーダー・コリーにもシェルティにもマール柄があるから、間違え易い。

オーストラリアン・シェパードはコリーよりも体高が低いが、しかしシェルティよりは断然高い(オーストラリアン・シェパード:46-53cm、。コリー:51-61cm、シェルティ:35.5-37cm)。ボーダー・コリーとはほぼ同じぐらいだ。

これらイギリス系のコリー種と体型で異なる点は、なんといっても体のつくりが割合がっちりしていること。とはいってもマスティフのような隆々というわけではない。コロコロとした印象を与える。頭部は、シェルティほど細長くなく、やや丸みを帯びた印象を与える。ボーダー・コリーのマズルもオーストラリアン・シェパードに比べると、とんがっている。

耳も見分けるよい点だ。耳の先は落ちているが、コリーやシェルティほど全体的には直立していない。しかし完全にたれた耳ではない(これはスタンダードでは失格)。

歴史的な違いだが、イギリスの農場にいた古いタイプの牧羊犬たちは、オールドファームコリーと呼ばれている。そのうち、ショードッグ化したのが、コリー。競技会に参加してエリートシープドッグの道を進んだのが、ボーダー・コリー。そして通常の羊追いの仕事をそのまま続けていたのだが、後に外国に連れ出され独自の発展を遂げたのがオーストラリアン・シェパード(名前にもかかわらずアメリカの牧畜犬してい改良を受けた)。オーストラリアン・シェパードは、逆にイギリスのコリーよりも、その姿においてオールドファームコリーの名残りをたくさん残している。

ハーディングの仕方も、オーストラリアン・シェパードはイギリスの牧羊犬とまったくことにする。コーギーなどと同じように、踵をかんで追う。このようなハーディング方法をとる牧畜犬はヒーラーと呼ばれ(踵を意味するヒールから派生した言葉)、牛追いに適している。牛は、コリーのように近づいただけではなかなか動いてくれず、少々物理的手段に訴えなければならないからだ。牛追い犬として精神的タフさを備えてなければならないという点でも、オーストラリアン・シェパードの性格は、シェルティやコリーに比べ、がんとして強いところがある。よって犬の初心者飼い主には薦められない。十分な運動量のみならず、仕事を与えなければなかなか満足しないので、トレーニング好きの上級者向けの犬種だろう。