尾形聡子

[photo by Africa Studio]
もちろん、犬がシェルターに入らずにすむ社会であることが理想です。しかし現実には、飼い主の病気や経済的事情、迷子、災害など、さまざまな理由によって、世界中で多くの犬がシェルターに保護されています。人が犬と暮らす選択を続ける限り、シェルターは存在し、そこで暮らす犬たちの福祉をよりよいものにする努力は続けていかなければならないでしょう。
シェルターという環境は、犬にとって決して穏やかなものではありません。限られた生活空間、騒音、予測しづらい日常、社会的接触の制限というような要因が重なり、シェルター犬は家庭犬に比べて高いストレス状態に置かれやすいことが、これまでの研究から一貫して示されてきました。尿や被毛中のコルチゾール、睡眠や活動パターンといった生理的・行動的な指標は、犬がシェルターでの生活に慣れているように見えても、身体的には負担を受け続けている可能性を示しています。
では、シェルター犬のストレスを軽減するためには何ができるのでしょうか。におい刺激を増やしたり、人との短時間の交流を設けたり、散歩の質を見直したりと、これまでにもさまざまな環境改善や介入について研究が行われてきました。その中で、一貫して効果が示されてきたのが、

