2025年を振り返る|犬曰く・今年よく読まれた記事5選


[Photo by Atlas]

犬について何かを述べるということは、正解を示すことではなく、問いを共有すること… 、そんな思いでこの一年も記事を書いてきました。

犬曰くは、クイックフィックスを提示する場でもなければ、SNSにありがちな即時的でわかりやすい答えを並べるメディアでもありません。立ち止まって考えること、その過程そのものを大切にしています。

犬の行動や健康、トレーニングやスポーツ… 答えがひとつではないテーマに対して、現場の経験と研究知見を行き来しながら、「どう考えるか」「どう向き合うか」を、読者のみなさんと共有したいと考えています。

そうした積み重ねのなかで、特に多くの方に読まれ、考えるきっかけとなった記事があります。
年末恒例として、2025年に最も支持を集めた犬曰くの記事ベスト5を、ここにご紹介します。

第1位 去勢による健康や行動へのリスク軽減となるか〜テストステロン補充療法

去勢による健康や行動へのリスク軽減となるか〜テストステロン補充療法
文:尾形聡子現在の日本において、家庭犬に対して広く不妊化手術が行われています。その主な目的は望まれない妊娠を防ぐためであり、飼い主としての責任のひとつであ…【続きを読む】

アメリカで長く掲げられてきた
「犬の飼い主の責任として、不妊化手術を行いましょう」
というスローガンは、日本においても広まっています。しかし実はこの考え方、現在のアメリカではすでに見直されつつあるものでもあります。

というのも、不妊化手術が犬の健康や行動に及ぼす影響についての研究が、この数年で大きく進展してきたからです。そうした影響を総称して「不妊化手術シンドローム」と呼ぶこともありますが、近年、このシンドロームに対する新たな対応の可能性を示す研究が、アメリカから発表されました。みなさんはどう思われますか?

第2位 パピーがやってくる…?今からパピープランを作ろう!

パピーがやってくる...?今からパピープランを作ろう!
文:藤田りか子またこんな感じなのがうちにやって来ます。 あと1ヶ月半ほどで3頭目のフィールド系のラブラドール・レトリーバーの子犬を迎えることになる。ブリー…【続きを読む】

3頭目となるフィールド系ラブラドールの子犬を迎えることになり….!ブリーダーから子犬が生まれるという連絡を待つ間の緊張感や、子犬が来ると決まった瞬間の高揚感とともに、本記事では「子犬を迎える前に、何を考え、どんな準備をするのか」を具体的に綴ってみました。

フォローネスを育てるためのエクササイズ、遊びを通じた集中力や自制心の土台づくり、あえて何もしない時間を設ける理由など、日常の中で積み重ねていくパピープランを紹介。スポーツドッグを視野に入れつつ、子犬のエネルギーを抑え込むのではなく、どう活かしていくのか、その葛藤と試行錯誤が続きます。

第3位 犬の世界もウェルフェアからウェルビーイングへ:アップデートし続ける動物福祉

犬の世界もウェルフェアからウェルビーイングへ:アップデートし続ける動物福祉
文:北條美紀泥遊びをする自由!犬にとってのウェルビーイング。以前、人の世界がウェルフェア(福祉)からウェルビーイング(持続的幸福)へと軸足を移しつつあるこ…【続きを読む】

犬の「愛護」とは少し異なる概念として、「ウェルフェア」があります。日本語では「福祉」と訳されることもありますが、その意味合いは完全に一致するわけではありません。

さらに近年注目されているのが、「ウェルフェア」の一歩先に位置づけられる「ウェルビーイング」という考え方です。これは単に生きているかどうかではなく、「その生活が生きるに値するものか」という“質”を問う概念だと言えるでしょう。本記事では、臨床心理士の北條美紀先生が、ウェルフェアとウェルビーイングの違いについてわかりやすく解説します。

第4位 ドッグスポーツも、しつけも… 実は共通している “あること”

ドッグスポーツも、しつけも… 実は共通している “あること”
文:藤田りか子4月、桜満開の日本にスウェーデンから二人の講師とともにセミナーに招かれた。私はもちろん通訳としての同行だ。講師の一人はオビディエンスのハンド…【続きを読む】

スウェーデンから二人のドッグインストラクターを招き、日本でのセミナー開催に関わりました。二人はノーズワークとオビディエンスという異なる分野のドッグスポーツに携わっていますが、話を聞くうちに、トレーニングの根底には多くの共通点があることが見えてきました。

もしかすると、そのような共通点をしっかり身につけている人こそが、犬のトレーニングにおける「達人」になれるのかもしれません。分野を越えて共有されるドッグトレーニングの考え方について。

第5位 ドッグトレーナーが抱く職業的ストレス、見過ごされているかもしれません

ドッグトレーナーが抱く職業的ストレス、見過ごされているかもしれません
文:尾形聡子変化するドッグトレーナーの役割と社会的背景現在広く使われている「ドッグトレーナー」という言葉は、昭和の時代には「訓練士」と呼ばれることが主流だ…【続きを読む】

ドッグトレーナーは「犬の専門家」であると同時に、飼い主に寄り添う存在であることも求められますね。さらに、家庭の事情や生活背景を考慮しながら、犬と人の双方にとって適切なトレーニングやケアを提供するという点で、いわばカウンセラー的な役割を担っているとも言えるでしょう。

しかし、このように深く関わる仕事であるがゆえに、トレーナー自身が燃え尽き症候群や共感疲労を経験している可能性はないのでしょうか。そうした実態を明らかにしようとした、アメリカのユニークな研究があります。

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いかがでしたでしょうか?みなさんのお気に入りの記事はありましたか?以上、2025年に特に多くの方に読まれた犬曰くの記事ベスト5をご紹介しました。順位やアクセス数はあくまで一つの指標にすぎませんが、そこには「知りたい」「考えたい」という読者のみなさんの関心が映し出されていると思います。これらの記事が、犬との暮らしや向き合い方について、それぞれの経験や立場から考えを深めるきっかけとなっていれば幸いです。

これからも犬曰くでは、日々の実践や研究知見を行き来しながら、犬について考えるための材料を発信していきます。引き続き、犬曰くをどうぞよろしくお願いいたします!