フラストレーションが犬の捜索行動に及ぼす影響

文:尾形聡子


[photo by AUFORT Jérome]

年始の恒例、藤田りか子さんの干支にまつわる犬の記事。すでに、今年の干支って何だっけ?となっている方も少なくないかもしれませんが、2025年は巳年。「“鼻と蛇” – 2025年の干支、ヘビにまつわる犬のお話」にてアメリカのフロリダ州で活躍するヘビの探知犬の話を紹介されていました。

ヘビに限らず、病気や害虫あるいは動物の糞など、枚挙にいとまがないほどありとあらゆるにおいを探し出す探索犬たちが世界中で活躍していますが、それと同時に、そのような犬たちの福祉を守るため多くの研究が行われてきています。盲導犬やファシリティドッグもしかりです。作業犬として現場にでられるようになるまでには多額の費用と労力がかかる上、慎重なブリーディングを重ね、さまざまなアプローチを使用してトレーニングを行ってもすべての候補犬が作業犬としての適性を持っているわけではありません。

藤田さんの今年の干支記事でも、3頭の候補犬がいた中でヘビの探知犬として頭角をあらわしたのは1頭。それ以外の2頭の犬たちは安全確保のためににおいを辿った先にいるはずのヘビに近づくのを禁止されたことにフラストレーションを感じ、モチベーションを失ってしまったとのことでした。そう、フラストレーションはあらゆることに対してやる気を失いかねない精神状態です。欲求をみたそうとする行動が阻止され、満足できない状態にあること、そしてその結果生じる不快な緊張や不安、不満のこと。それについては「モチベーションの敵、犬の「がっかり感」を探る」など、藤田さんがさまざまな記事の中で触れていますのでぜひご一読いただければと思います(本記事最後の関連記事もご覧ください)。

しかし一方で、捜索救助犬などのトレーニングではモチベーションや粘り強さを高めて目標を達成するために、フラストレーションという感情的な反応を意図的に誘発

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