嗅覚探知能力、形態的特徴や犬種よりもカギとなるものは?…の裏付け

文:尾形聡子


[photo by Henk Vrieselaar]

先日の藤田りか子さんの記事「ノーズワーク、犬種による嗅覚能力の差はあるのか、という研究は…」を読んで、すぐさまある論文が頭に浮かびました。かれこれ1年近く温めていたものでした(よく忘れなかったなと自分でも驚いています)。

というのも、藤田さんの記事の中で紹介されていたハンガリーの研究を見ると、「Natural Detection Task(自然な探知タスク)」という嗅覚テストにおいては人が嗅覚を活かしてもらうために繁殖をしてきた、いわゆる「嗅覚ハウンド」に入るグループの犬よりも、別の目的で作出されたボーダー・コリーやジャック・ラッセル・テリアなどの方が優秀な成績をおさめていたのですが、その結果に対する藤田さんの考察をまさに裏打ちしている研究だったからです。

その研究はプレプリント状態、つまり査読を受けていない状態での発表だったので、査読された後に記事にしようと待ち構えていました。しかしそこにきて先日の藤田さんの記事、さらにはまた別の同様の論文が発表されているのを発見し、ちょっと大袈裟ですが「満を持して」となったわけです。

というわけで、藤田さんの素晴らしく鋭い考察を科学的にサポートする研究を今回は紹介したいと思います。

作業特性や外見による選択繁殖により誕生した犬種だけれど

人間の最良の友として、犬は人類と共に歴史を歩んできました。現在地球上に存在する犬種は、狩猟、牧畜の管理や護衛、狩猟、伴侶など、さまざまな専門的な役割を持つように人が選択繁殖した結果、形態的な

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