文:尾形聡子
[photo by BONNIE C. MARQUETTE]
人や犬をはじめ、地球上に生息する多くの動物は時間の経過とともに老化していきます。老化とは、成熟期を迎えたあとから生じてくる生理機能が衰退していく自然現象で、死に至るまで続きます。生理機能が低下すると、遺伝的な内的要因や環境の外的要因からのストレスにさらされたときの適応力も低下するため、恒常性を維持することができずに老化現象として生物学的な変化が生じてきます。
老化は突然起こるものではなく複雑なプロセスを経て少しずつ進行していきますが、老化の進行における問題は、その現象のほとんどが生物にとって悪い影響があることです。病気に対する抵抗力はもとより、臓器の機能低下、筋骨格系の機能低下、脳神経系の低下、あるいはそれによる認知機能低下など、あらゆるところに老化の影響はあらわれます。
犬の寿命は人よりも短く、老化が進むスピードも速いことがわかっていますが、人と犬の老化プロセスには類似性があることが昨今の研究によりわかってきています。そのような観点からすれば、犬の老化は人の老化と共通した兆候が見られるため、飼い主は愛犬の老化を認識しやすいものです。しかし場合によっては、