犬の攻撃性と病気との関係

文:尾形聡子


[photo from Adobe Stock]

攻撃性はどんな犬でも持ち合わせている性質です。たとえば母犬が子犬を守るために攻撃的になる、食べ物を奪われたくないために攻撃的になるなど、攻撃行動は犬の正常な行動である一方で、一般的な問題行動でもあります。その犬の攻撃的な行動が頻繁に見られるのか、それともめったに出ないのか、どのような攻撃の仕方をしてくるのかなど、問題となってくるのはその“程度や頻度”です。私たち人間も攻撃性を持っていますが、どのくらい激しく、どれくらい頻繁に、どのような文脈で攻撃性を見せるかなど、さまざま要因を総合的に見て、問題視すべきかどうかを判断するのと同様です。

犬は人のように道具を手に持つことはできませんが、鋭い犬歯を持っています。そのため、相手に怪我をさせることを目的としていないとしても、重傷を負わせてしまったり、場合によっては命を奪ってしまうということが現実的に起きています。そして咬傷事故を起こせば、それが原因で飼い主が犬を飼育放棄したり、最悪の場合には安楽死させられてしまうこともあります。強い攻撃性を持つ犬は、一般的な家庭犬としての日常生活を送る上で問題を起こしやすく、それは当の犬の福祉を低下させるばかりか、飼い主の福祉も低下させるおそれがあります。

これまで犬曰くではさまざまな角度から犬の攻撃性についてお伝えしてきました。攻撃性についての記事は文末の関連記事のところにいくつかピックアップして載せておきますので参考にしていただければと思いますが、最近では藤田りか子さんの「犬の攻撃性について」という記事が記憶に新しいところです。そこにも書かれているように、攻撃行動の多くに恐怖やストレスが関係していることが知られていますが、痛みや病気などの健康問題も攻撃的な行動を誘発する原因のひとつとなる可能性があります。

そこで、どのような健康問題が攻撃性を引き起こす可能性があるのかについてまとめた、スペインのバルセロナ自治大学の研究者らによるレビューをもとに、主要な疾患と攻撃性との関係を紹介していきたいと思います。

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