文と写真:藤田りか子
動物とのふれあいによって脳に放たれるオキシトシン・ホルモン効果は最近、愛犬家の間でも、すっかり知られることとなった科学的事実である。犬を撫でたり触ったりすることで体験できるリラックス感は、ただし飼い主だけの特権にあらず。今や、その効果を医療に、心理療法に、そして、子供の教育から高齢者への癒しあるいはセラピーに応用する試みが世界中で行われている。これらの現場で活躍する犬たちは、 セラピードッグと呼ばれている。
ただしただやみくもに、たとえば保護してきた犬を何かの役に立たせてあげようと、施設や医療現場にただつれていくだけでは、セラピードッグとして機能しない。その犬の能力、素質、そしてハンドラーの知識、器量、対応能力が整ってこそ。これは安全面、倫理面に関わるとても大事な考慮事項でもある。だからこそ、セラピードッグとそのハンドラーには正しい教育が必要だ。そしてなによりも正しい人材、犬材の選択!
この目的に応えるべく北欧スウェーデンにはセラピードッグ専門のユニークな学校がある。学校の教育と質は厚生省によっても保証されたもの。教育期間は決して短いものではなく、犬とハンドラーに多くが要求される。今回はその学校への取材を通して、セラピードッグとハンドラーというチームの育成について考えてみたい。