怖がりの犬に効果的な対策は?トレーニング、それとも…?

文:尾形聡子


[photo from Adobe Stock]

コロナが世界的に流行し始めたのはおよそ3年前。それを受けて一気に広まったのがリモートワークでした。そのような状況にある中で、在宅時間が増えた人々が犬を新たに迎える動きが加速しました。

リモートワークは通勤ストレスがないなど働きやすさがある一方で、コミュニケーション不足によるメンタル不調に陥りやすいことが問題視されるようになりました。海外ではロックダウンなどの影響をもろに受けた犬においても、外出制限などから十分な社会化を受けられないままに子犬時代を過ごさざるをえないという状況だったため、不安で怖がりな犬が増加したとの報告がされています。そして、パンデミック渦中に飼い主と四六時中一緒にいる状況で育った犬は、世の中が以前のような働き方に戻り始めている今、ひとりで長時間の留守番に慣れなければならなくなっています。

コロナが流行する前、アメリカを中心とした16カ国、4,114頭の家庭犬を対象として問題行動を調査したタフツ大学の研究(2019年)によれば、85%の犬に何らかの問題行動が見られると報告されています。もっとも多い問題行動は恐怖/不安に関するもので、44%にものぼりました。次いで多かったのが攻撃性の30%でした(詳しくは「犬の8割以上にある問題行動~アメリカでの人口統計学研究より」をご覧ください)。

この研究が行われたときよりも、今やパンデミック世代の犬が加わりさらに恐怖心や不安感を抱えている犬の割合が高くなっている可能性があります。精神的に健やかな暮らしを送る上でもはや見過ごしてはならない問題とも言えるでしょう。あまりに怖がりな犬は心にハンディキャップを抱えて生きて行くことになるからです。

恐怖/不安に関する行動といっても、そのような感情を抱く対象はさまざまで、たとえば対犬への恐怖、見知らぬ人への恐怖、物体への恐怖、騒音への恐怖、雷への恐怖、人混みへの恐怖、動物病院への恐怖、恐怖に起因する攻撃、分離不安、全般性不安障害(慢性的に不安状態に陥ること)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などがあります。

このようなさまざまな恐怖や不安において、ごく一部の症例では薬での治療を取り入れることで改善することが報告されていますが、それも決して容易ではないそうです。また、恐怖や不安は併せ持つことが多く(「怖がりな犬についての大規模調査~フィンランドの研究より」参照)、環境要因だけでなく遺伝的な要因があるケースもあり、原因が複雑であることも珍しくありません。さらに、ドッグトレーナーは自らのテクニックや行動修正プログラムを行った結果を公表しない傾向にあるため、トレーニングにおける改善状況がなかなか明らかにならないのが現状だと言われています。

そこで、前述の2019年の研究を行ったアメリカのタフツ大学の研究者らは、それに続く追跡研究として、恐怖や不安に関する行動を示したとする飼い主を対象にアンケート調査を行い、これまでほとんど扱われていない、広く一般的な恐怖や不安に基づくあらゆる状態を調べました。症状を有する犬の飼い主が、どのような状況のときに、どこに相談をし、どのような方法で対処すると改善の可能性が高いのかを知っておくことが重要だと考えたためです。


[photo from Adobe Stock]

改善に取り入れやすいものは何?

追跡調査では飼い主(1,048人)が少なくとも1つの恐怖や不安行動を見せると回答した犬(1,308頭)についてアンケート調査を行いました。質問事項には、トレーニング方法や行動修正方法、薬物療法、代替医療など、恐怖や不安への対応方法が含まれていました。調査対象となった犬の50%がオスで、そのうち92%が去勢済みでした。メスも50%、92%が不妊化手術を受けていました。手術時期がわかる犬においての手術年齢の中央値は9ヶ月齢(1ヶ月〜132ヶ月の範囲)でした。また、犬の半分強(680頭)が雑種、残りは132犬種の犬となっていました。出自についてもっとも多かったのが保護団体からで57%、ついでブリーダーからで25%でした。

また研究者らは、犬が何に対して恐怖や不安を抱くかについて、①非生物(花火や騒音など)、②生物(犬や人に対して)、③状況(分離不安など)、④全般性不安障害、⑤PTSD、の5つにカテゴリーわけして解析を行いました。

全体の解析結果

飼い主の50%が

【こちらは有料記事です】

続きを読むにはして下さい。

ご購読いただくと続きをご覧いただけます。

今すぐ会員登録して続きを読む