犬のオンとオフのスイッチをどう制御していくか

文:藤田りか子

Photo by Simon Ingram

「犬のスイッチ」とはよく聞く言葉であるが、それは、実際には何を意味するのだろうか?たいていはネガティブな状況で使われる。

「あら、鳥をみたらうちの子にスイッチが入っちゃった〜」

など。スイッチは、ただし、そのメカニズムを飼い主が把握すれば上手に制御できるし、逆に有効活用もできる。以下に解説しよう。

スイッチのオンとオフ

オンはアクティビティレベルがあがっていくこと。オフはその反対でパッシブ(受け身)であること。理想的な家庭犬あるいは作業犬には、いわゆるこのオンとオフのスイッチがいい感じに備わっている。アクティブにする、というのは簡単だ。けれど、自発的に落ち着ける、という能力はどの犬にも自然に備わっているわけではない。だから作業犬として犬を選ぶときは、生まれつきオンとオフのスイッチを持っている個体が好まれる。

我が愛犬、ラブラドール・レトリーバーのアシカがまさにそんな犬だ。作業をするとき、リラックスするべきときをちゃんとわきまえている(もちろんトレーニングあってのことだけど)。だからいっしょに生活をしていてとても楽だ。そしてその娘のミミチャンに関しては、残念ながらアシカほどではなかったので、子犬時から相当なトレーニングを要した。アシカの10倍ぐらい練習をしたと思う。しかしようやく今その成果が出てきた。つい最近ノーズワークの競技会に参加したときに、ジャッジに褒められた。

「あなたの犬のサーチはものすごくエネルギッシュですね。こういう犬はサーチをやっているうちに、どんどん興奮していくものです。だから一つのサーチが終わり次のサーチに入るときに、集中できずにおいを取り損ねることがあるのですが、この子は一サーチが終わると「ストン」とエネルギーレベルを落としています。これは大事ですよ」

…なるほど。オンにしたりオフにしたりする能力は、ガンドッグスポーツのみならず、ノーズワークでも有効活用できるものだったのだ。このジャッジの言葉がなかったら気がつかなかったかもしれない。競技会でたくさんの犬を見てきているからこそのコメントなのだろう。

Photo by S. Hermann / F. Richter from Pixabay 

というわけで、たとえ生まれつきスイッチの切り替え性能がそれほどよくなくとも、トレーニングでかなり向上できる、と確信をした次第だ。しかし、それはアクティブである状態を無理矢理抑えることで、培ったわけではない。それより

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